バンド仲間というのはなかなか不思議なもので、自分がバンドを辞めたり向こうが辞めたりすると急に会わなくなる。が、ちょっとしたきっかけで再会するとすぐ当時の関係性に戻れる。
別メンバーと仲が良い別バンドの仲間とは、自分はそこまで深い仲にならないというのもある。
まさに、そんなバンド仲間だった。
やはりそこまで仲が良いというわけではなかったので、もう随分長いこと会っていなかった。
(仲の良かったメンバーは会っていたのかな。もうそのメンバーとも連絡が取れないから分からない。)
SNSだけは繋がっていて、彼がずっとがんばって活動していたことは知っていた。いつまで経っても演奏が下手で、でも何故だか惹きつけられるものがある。それだけを武器に続けているようなところはあったけど、自分がとっくに辞めたバンドと同時期からずっと活動し続けているのは凄いなと素直に思っていた。
彼は何があってもバンドは辞めないだろうな。
それがひとつの信念にも思えたし、やり続ける才能があるんだなとも思えた。一方でただ好きだからやり続けてるだけという無邪気さも感じた。
何があったかは分からないし、聞ける知り合いもいない。あまりにも突然の出来事に驚きを隠せなかったし「悪い冗談じゃないのかな」とつい不謹慎なことも考えてしまった。だがどうやら本当のことのようだった。
まだ若いつもりでいる自分ももういい歳のおっさんで、同世代の彼が亡くなるにはまだ早すぎるとは言え刻一刻と歳を重ねて死に近づいてる。
そんなことを考えても、もう手遅れだ。Twitterに返信したところで、彼からいいねが付くことも、レスが来ることもない。
でも、彼に伝えたい。
いつか俺がそっちへ行ったら、居場所突き止めるから久々に話そうぜ。
最後に会ってからどうしてたか、ゆっくり時間をかけてさ。酒が大量にいるから準備しといてくれよ。歳下の役割で。
セッションもしようぜ。俺が1人で音楽をやり始めて、Twitterで褒めてくれた曲覚えてるか?まずはあの曲からだ。勿論お前のバンドの曲もやろう。
爆音鳴らさなきゃな。周りに迷惑かかるかな。そんなのはもう関係ないか。
こう言うのも変かもしれないけど、それまで達者でいてくれよ。
ありがとな、本当に。
もう前が見えなくなってきたからこの辺で失礼するよ。
じゃあな。どうか元気で。