2022-12-27

切り取り、お見事です

平 祐介 @YusukeTaira

平成30年司法試験(論文式試験憲法)では「不快ものを見たくない」あるいは「およそあるものを見たくないという感情」が法的に保護に値する価値があるのか?ということが出題されました

そして安易憲法上の権利だと書いたりするとNGですよ、と試験委員コメントしていますね(同年の採点実感↓)

https://twitter.com/yusuketaira/status/1607387830132822016

この指摘の元となるのは https://www.moj.go.jp/content/001273705.pdf なんだが、トップブコメb:id:casm はここから直前の一文を切り取ることで、見事ミスリード成功させている。凄い。

原文を少し前から引用すると、

その際,条例目的が,青少年健全育成のみならず,一般市民がむやみに卑わいな画像等に触れないようにするという点にあることについて,青少年場合と同様,憲法上の権利の制約の目的としてふさわしいのかどうかについても言及することが考えられる。

例えば,条例目的は,結局のところ,卑わいな画像等を見たくない人を保護するということになるが,見たくないものに触れさせないこと一般が法的保護に値するとは言えないという議論や,目的漠然としたもの抽象的にすぎるといった指摘をして,その目的としての価値が大きくないと評価する方向で議論をすることも考えられよう

他方,

【ここだけ切り取り】

性的羞恥心や卑わいなものを見たくない人の不快感は,現に一般に共有されている感情である以上,十分に法的保護に値するといったこから,制約目的としての価値を見出す議論をすることできるであろう。

https://www.moj.go.jp/content/001273705.pdf



以上を踏まえた上で試験委員はこう↓言っているのだから、まさにcasm氏のような、一部を切り取った意見を戒める内容なんですよね。

不快ものを見たくないとか、あるいはおよそあるものを見たくないという感情保護それ自体を当然の保護のように制約目的として肯定し、場合によっては更にそれを憲法第13条や21条に基づく権利であるとする答案が目についた。

この種の利益保護を制約目的として認めることについて、検討ないし一定留保必要であるとの意識を持ってもらいたかったところである

結局のところ、平弁護士の指摘が正しかったようですね。

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