平 祐介 @YusukeTaira
平成30年司法試験(論文式試験・憲法)では「不快なものを見たくない」あるいは「およそあるものを見たくないという感情」が法的に保護に値する価値があるのか?ということが出題されました
この指摘の元となるのは https://www.moj.go.jp/content/001273705.pdf なんだが、トップブコメの b:id:casm はここから直前の一文を切り取ることで、見事ミスリードに成功させている。凄い。
その際,本条例の目的が,青少年の健全育成のみならず,一般市民がむやみに卑わいな画像等に触れないようにするという点にあることについて,青少年の場合と同様,憲法上の権利の制約の目的としてふさわしいのかどうかについても言及することが考えられる。
例えば,条例の目的は,結局のところ,卑わいな画像等を見たくない人を保護するということになるが,見たくないものに触れさせないこと一般が法的保護に値するとは言えないという議論や,目的が漠然としたもので抽象的にすぎるといった指摘をして,その目的としての価値が大きくないと評価する方向で議論をすることも考えられよう。
他方,
【ここだけ切り取り】
性的な羞恥心や卑わいなものを見たくない人の不快感は,現に一般に共有されている感情である以上,十分に法的保護に値するといったことから,制約目的としての価値を見出す議論をすることもできるであろう。
以上を踏まえた上で試験委員はこう↓言っているのだから、まさにcasm氏のような、一部を切り取った意見を戒める内容なんですよね。
不快なものを見たくないとか、あるいはおよそあるものを見たくないという感情の保護それ自体を当然の保護のように制約目的として肯定し、場合によっては更にそれを憲法第13条や21条に基づく権利であるとする答案が目についた。
この種の利益保護を制約目的として認めることについて、検討ないし一定の留保が必要であるとの意識を持ってもらいたかったところである。