読者諸兄にDECという名前の会社を覚えている人はいるだろうか。
ミニコンの名機と言われたVAXを世に出し、結局のところそれが理由で潰れた(正確には買収された)メーカーだ。
要は
その後しばらくしてWindows95の登場と、それをPCで十二分に動かすことを可能にしたPentiumプロセッサが、それまでの状況を決定的に塗り替える結果となった。
そしてカトラーはMicrosoftに引き抜かれてWindowsNTを開発し、後にこれがWindows系OSのメインストリームになったと。
この流れの背景には、MicrosoftとIntelによる革命的なパラダイム・シフトが大きいと思う。
すなわち、従来のコンピュータにおいてソフトは「ハードのおまけ」でしかなかった。
それをビル・ゲイツは
「将来のコンピュータはソフトの出来不出来こそが最も売上を左右する。ハードは優れたソフトを動作させるための部品でしかない」
と予測し、PC用プロセッサを作っていた「マイコン屋」Intelもこれに賛同したと。
そして賭けに勝った。
親友だったジョブズの影に隠れがちとはいえ、ビル・ゲイツもまたこの一点だけ取っても恐るべき慧眼であり、偉大な人物だと思う。
ジョブズといえば「完璧で美しいけど高い」Macintoshの売上がさっぱりだったことを踏まえ、Windowsは「そこそこの値段でそこそこの性能」を落とし所にしたのも巧い。
とはいえ、MSとIntelに何も不安がないといえば嘘だろう。
MSはモバイル分野では今なお見る影もない。ぶっちゃけPCが廃れたらヤバくない?という。
IntelはIntelで64bitアーキテクチャの主導権とZenアーキテクチャの大ヒットにより、少なくとも過去2回AMDに敗れている。