姪っ子が姉とわが家へ遊びにくるとき、うちの父・母・増田でお相手させてもらってる。
ちびっ子というのは不思議なもので、普通ならありえない誰かがうちに来ているという体で遊び始めるので、家族の誰かしらがそのゲストになりきる必要がある。(うちだけじゃないと信じたい)
父はそういう器用なことはできないし、母はそれ以外の方法でうまくあやすので、結局それらは増田が対応することになる。
「ザコシショウきてる!」
そう、ハリウッドザコシショウである。
まずい。そう思った。
このままいくとザコシのマネをさせられる。
増田が知っているザコシのギャグは「べいべべべい」みたいなやつと「ハンマカンマ」と「は?」だ。最後なんかギャグなのかもわからない。
というか、以前ハンマカンマは姪っ子の中でブームになっていた。二回も。姪っ子ザコシ大好きすぎないか?
ともかく増田はザコシ知識が非常に乏しいので、なんとかマネをしないで済む方向に持っていきたい。
「えー?」
でも姪っ子の顔がむくれているのでどうにかしなきゃならない。どうしよう…。
その後当然姪っ子は言った。
「ちゃん、ザコシよんで〜!」
もう破れかぶれだった。ザコシエアプだけどどうにかなるだろ、と思うしかなかった。ちなみにこの時点で数少ない知ってるザコシのギャグは頭からすっぽり抜けていた。武器ゼロだ。
増田は、腹をくくった。
ひとりで心臓マッサージのマネをするみたいに、片腕を袖から抜いて腹に持っていき、パーカーの腹部分をにぎり拳で突き上げながらダミ声で
「姪っ子ちゃん、ザコシだよ〜!」
おそるおそる姪っ子の反応を見ると
「ザコシだ〜!」
これで本当にいいのか、姪っ子よ。
結局このザコシもどきは姪っ子のお気に召したようで、笑ってくれたし何度もリクエストしてくれた。やめてくれ。
マン様って本当に落ちのない話するんだな