2021-02-15

エキスパンションジョイントのはなし

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1667751

 

 

まず前提として、増田エキスパンションジョイント(以下Exp.J)のメーカーカタログをみてどれを使うか選定し、

Exp.J部分の断面図を書く仕事をする程度にはExp.Jのことを知っている人間です。

 

「Exp.Jが壊れたのは想定通り機能した結果であってあの状態が正しい」

という言説がネット上にまことしやかに流れているので、この場をお借りしてプロヘッソナルの意見を言いたい。

 

地震が起こると建物が揺れます

たとえばビルのA棟とB棟の間に渡り廊下があると思ってください。

A棟とB棟は基本的に揺れ方がシンクロせず、それぞれの周期で揺れますので

その2つの揺れのねじれが渡り廊下に負荷を与え、付け根の部分にヒビが入り、分断し、壊れてしまます

それを防ぐためにあらかじめ隙間を作っておき、建物構造部分に深刻なダメージが出ないようにするのがExp.Jです。

そしてExp.Jというのは本質的に隙間部分のことであり、今回壊れたのなんのと騒いでいるのはExp.Jカバーと呼ばれる部品です。

 

(参考資料 https://www.abc-t.co.jp/products/material/fitting/expansion/

 

隙間があると人が通るのに危険だし、雨風が吹き込んだりするし、また見た目もよろしくないので

金属などでできたカバーを付けて人が通れるようにし、見た目的にも隙間を塞いで室内空間となるようにします。

 

いざ地震が起こって建物が揺れると、この隙間が広がったり狭くなったりしますが

Exp.Jカバーはその動きに追従するように作られているので、通常の揺れなら壊れません。

 

ただし想定以上に揺れてしまった場合カバーが外れたり曲がったり壊れたりし、

ひどいと建物同士がぶつかって床や壁のタイルが剥がれたりすることもあるでしょう。

それが今回のようにネットで騒ぎになるような状況ということです。

 

しか本質的にExp.Jのついている部分は建物の端部なので、

そこが壊れても建物全体に構造上の危険が起こることは少ないでしょう。

カバーを取り替えてタイルを張り直せば済みます

Exp.Jがなくてボッキリいったら最悪建て替えなので、

そういう致命的ダメージ回避するための仕組みです。

 

隙間をアホみたいに広く取れば建物どうしはぶつかりませんが、

デカカバーをつけるのはコストも掛かるし見た目がカッコワルイので、

そこは程よいところで隙間の幅を設定します。

(というか基準があるからそれ以上の値でどこにするか決める)

 

から今回のような大きい地震だとその幅を超えて揺れ、壊れることもあります

カバー壊れたらそんとき取り替えればえーやろ。ということです。

(もちろん壊れないに越したことはないし消耗品というわけではない)

そして、壊れることで役割を果たす、というのはぜんぜん違うのです。

 

 

もっと詳しくExp.Jについてわかりたい人はこれを読め!

図解付きでわかりやすい!

 

若手設計者が知っておきたいエキスパンションジョイントの基礎知識

https://www.abc-t.co.jp/columns/201701expj.html

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