2021-01-24

ピアスの穴の思い出

もう40歳近くなるが、学生の頃に開けたピアスの穴が未だに塞がっていない

東京私大に行ってできた彼女に開けてもらった穴だ

高校生の頃はクラスカーストに入っているんだかいないんだか曖昧な目立たない存在だったが

音楽サークル大学デビュー成功して、すぐに彼女ができたのだった

付き合ってからお互いの家で一緒に過ごす時間は長かったが

童貞だった僕は関係さらに進める方法が分からず、半年近くキスまでの関係が続いた

どうすれば先に進めるのか…

音楽サークルのチャラい先輩を観察すると、耳にピアスが空いていることに気付く

僕は「これだ!」と思った

今思うと何の因果関係もないのだが

自分の耳に彼女が穴を開けることで、より特別存在になれるような気がした

寒くなってきた12月のある日の夜、彼女晩御飯材料スーパーで買った後

薬局に寄ってピアッサーと消毒液を買ったのだった

 

食事が済んだ後、僕は彼女に「耳に穴を開けてくれないか」と頼んだ

先輩から聞いた工程は以下だ

まずはボールペンマークをつけて

次に氷で十分に冷やす

冷えた後は表面を消毒を行い

ようやくピアッサーで穴を開けるのだ

彼女は怖がる素振りを見せながら、いつもより心なしかはしゃいでいたように見えた

自分がつけた印が一生僕に残るのが高揚を誘ったのだろうか

真剣に耳にマークをつけてくれるその手がくすぐったい

僕もキスする時以上に興奮していた

鏡など使いながら何度も入念に場所確認した後で、彼女ピアッサーを握り込んだ

カツンッという音と軽い衝撃、麻痺している耳からは何も感じない

穴の空いた耳を注視する彼女視線

彼女がつけた印は間違いなく僕の身体に刻まれたのだ

上がった吐息にいてもたってもいられず、僕たちはそのまま初めてのセックスをしたのだった

 

翌日反対側にも穴を開けて、彼女は帰っていった

その後1年ほどで彼女とは別れることとなるのだが

僕は今も、耳に残る穴を触るたびに自分初体験を思い出すのだった

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