もう40歳近くなるが、学生の頃に開けたピアスの穴が未だに塞がっていない
高校生の頃はクラスのカーストに入っているんだかいないんだか曖昧な目立たない存在だったが
音楽サークルで大学デビューに成功して、すぐに彼女ができたのだった
童貞だった僕は関係をさらに進める方法が分からず、半年近くキスまでの関係が続いた
どうすれば先に進めるのか…
音楽サークルのチャラい先輩を観察すると、耳にピアスが空いていることに気付く
僕は「これだ!」と思った
今思うと何の因果関係もないのだが
自分の耳に彼女が穴を開けることで、より特別な存在になれるような気がした
寒くなってきた12月のある日の夜、彼女と晩御飯の材料をスーパーで買った後
食事が済んだ後、僕は彼女に「耳に穴を開けてくれないか」と頼んだ
次に氷で十分に冷やす
冷えた後は表面を消毒を行い
ようやくピアッサーで穴を開けるのだ
彼女は怖がる素振りを見せながら、いつもより心なしかはしゃいでいたように見えた
自分がつけた印が一生僕に残るのが高揚を誘ったのだろうか
僕もキスする時以上に興奮していた
鏡など使いながら何度も入念に場所を確認した後で、彼女はピアッサーを握り込んだ
カツンッという音と軽い衝撃、麻痺している耳からは何も感じない
上がった吐息にいてもたってもいられず、僕たちはそのまま初めてのセックスをしたのだった
翌日反対側にも穴を開けて、彼女は帰っていった
その後1年ほどで彼女とは別れることとなるのだが