■ミスを隠そうとして自分の汚さを知る

大きなクレームになっている案件で、更に不具合が起きた。

原因不明で、あらゆる方面から調べた。

最初は自分の失敗だと気付いてなくて、段々と原因が見えてきて心臓が高鳴った。

終業の時間だったのでそのまま業務を終えた。

「色々不具合が重なっているし、言わなければバレないのでは？」

「更新データを見ても誰がやったかまでは分からないだろう」

と考えた。データを改竄した。大丈夫だと思った。

いや、ログ見たらバレバレじゃん。

遅かれ早かれ原因は分かる。気づかれない可能性に賭けるか？だめじゃん…無理だよ

データを戻した。

そもそも、どうして隠そうとしてるんだっけ？

実は先週もミスをした。そのときは素直に謝罪し、経緯と原因と対策を報告した。

連続でミスをしたと分かったら、周りは失望するだろう。評価も下がる。もう仕事を任されないかもしれない。そんな不安があって、隠すことを考えてしまった。

いっそ、何も言わずに退職してしまおうか…

今すぐここから逃げてしまいたい。バックレようか…

いや、住所が割れてる。電話番号も住民票も知られてる、何より後味が悪い。

発覚した時点で素直に謝っていれば良かった。改竄なんて一番やっちゃいけないことだ。そんなんだからいつまで経っても小心者だ。

もっと楽に生きたい。

仕事に振り回されない生き方がしたかった。

無理のない程度に、生きる分だけ稼いで穏やかに過ごしたい。

バレる可能性が低ければ、私はミスを隠し通すと思う。問題が消えるわけではないのだから、そんなことしたら別の誰かに責任の矛先が向かうだけなのに。

あまり罪悪感はない、自分が責められないのなら…私はこんなに汚い人間だったのか。

先程、原因と経緯と謝罪の文章を書き終えた。

あとは送信ボタンを押すだけだ。

押せば、色々なものから開放されて楽になると思った。

Permalink | 記事への反応(3) | 00:29

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