2020-08-17

坊っちゃん」を読んで

読書感想文の季節なので、学生時代に読んだ記憶を頼りに感想文を書いてみる。

私には「坊っちゃん」の面白さが全然からない。

マドンナが出てくるという事前情報だけで読み始めたが、結局マドンナは端役に過ぎなくてがっかりした。

坊っちゃんは住んでる土地をボロクソ言うし、やたらと人を嫌う。赤シャツは何の先生か忘れたが高圧的な体育教師イメージで好きになれない。とは言っても、坊っちゃんみたいに嫌って見下すのは理解できない。うらなりのことも坊っちゃんは見下している。自分は見下されるのが嫌いだから、人を見下す描写ストレスだ。

坊っちゃん自分はこんなド田舎で埋もれる人間じゃない、周りはバカばかりというのを隠さない。それが痛快なんだろうか、坊っちゃん好きの読者は?

学生時代から自分はどうしてこんなにダメなんだろう、どうしたらいいんだろう、また失敗した、うまくやれない…と思っていたので、坊っちゃんの自ら恃むところ頗るあついのが共感できなかった。むしろ「友が皆われより偉く見える日よ」に共感していた。

いや、坊っちゃんだって表向きは強がりだけど内心は不安だらけなんだとか、自分自己卑下してるつもりかもしれないが突き詰めると自分だって人を見下してやしないか?等と考えれば、坊っちゃん自分は実は相似形で同族嫌悪という説も成り立つかもしれない。だが、それにしても、実際描写されているような「あからさまな」見下しはどうにも不快だった。

やめてくれ、辛い、その見下し描写子供の頃いじめられたのを思い出す、という気持ち

今でも自分の中の坊っちゃんは、人気者で人をイジってゲラゲラ笑い、ちょっといけ好かないやつには面白おかしいいたずらを仕掛け、それがやり過ぎになっても気にしない、自分以外に心があるとは思ってない人だ。

漱石はそういう人物として描いたんだろうか?それとも痛快なお話を書いたらそういう人物なっちゃっただけなんだろうか?漱石坊っちゃんに好感を持ってるのか、批判的なのか?

昔読んだ記憶だけでは、そのへんはわからない。

再読してみたいようでもあり、読んだらまたしんどくなってしまいそうで読みたくないようでもある。

坊っちゃん」好きの人はどのように読んでいるのだろうか。また、「坊っちゃん」嫌いな人は自分と同じポイントが嫌なのか、また別の引っ掛かりがあるのだろうか。

  • あなたの読み方はきわめて「素朴」です。だから、「わかる作品はわかるが、わからない作品はわからない。」という事になります。 どこが「素朴」だと言うのか、それは、「作品を常...

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