2019-09-26

好きになった人はたまたまフリーターだった。

公務員の夫は、モラハラと嘘を繰り返した。そんな折、SNS上で交流のあった男性に一緒に飲もうと誘われた。彼はコスプレイヤーカメラマン所謂カメコをしているそうだ。

何度も逢瀬を重ねる内に、頼れるのはこの人だけだという気分になった。

福祉に興味があり、努力の結果資格を得た事。私は元々福祉に携わる友人を見て好ましく思っていた。彼は滔々と将来の展望を述べた。行く行くは、養護施設の子供の教育に携わりたい。熱心な態度は公務員普段のそれと大きくかけ離れていて、二人の軌道はまるで同一のように思えた。

試しに、婚姻届名前を記入して貰うとスラスラと名前を書いてくれた。これが本当なら良いのにねとずっと言っているうちに、形になったらどれ程幸せだろうと夢想していた。

愛された事のない人生で、あの人だけが私をまともに見てくれた。彼は劣等感を抱えていたようだけど、それも含めて愛していた。彼を変えてあげたい、支えてあげたいという姉気質何となく、芽生え始めていた。

息子は、終始良い子にしていた。これから宜しくねと可愛く笑っていた。ここに二人だけの居場所がある。希望しかなかった。息子は兄弟離れ離れになってしまったが、月一で遊びに行かせると満足している様子だった。

そうして、血の繋がりのない家族を続けて数ヶ月。

夫の生活昼夜逆転していた。

正直言って9歳の息子の方がしっかりしていて、3人分の食器を洗っている。

演技は苦しくはなかった。けれど、どうしたらこゴミのような亭主を棄てられるのか、それだけを考えるようになった。

いつか絞殺してやりたい、そう思いながら隣の家のメータボックスに紐を忍ばせた。幼い息子に殺しは依頼出来ないが、きっと一人でやり遂げてみせる。

あの家計を食い潰す虫を、早く駆除しなければ。

元夫に話すとどうやら協力を得られそうだった。不要人物を追い出し、元の生活を送るのが子供の為にも良いだろうという約束で。決行日は、来週の日曜。

ホームセンターでありったけの凶器を買込むつもりだ。

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