2019-09-10

生ケツにダブルクリップが刺さる昼下がり

 確かに、そろそろ夏用スーツ古くなってきたな、とは思っていた。

 でももう9月だからこのまま今年は乗り切ろうと思ってさ。

 

 でも流石に穴が開いたボクサーパンツ貧乏すぎだ、と思うだろう。

 だから、こないだの休日洗濯物干してる途中で、洗ったばっかりのパンツゴミ箱に突っ込んだんだよね。

 そしたら今朝になって、今日履くぶんのパンツがなくてさ。

 あーしまったそうか。パンツ7枚のサイクル崩れてるんだった。うーん、洗濯籠でバスタオルの下でほんのり湿ってるパンツか、ノーパンかの2択か……。ま、ならノーパンでいいか。今の今まで寝てる最中スウェットの下がノーパンだったんだしな。途中でどこか寄れたらパンツ買おう。

 というわけで俺は今日ノーパンスーツ着てるサラリーマンだった。

 まあ言わなきゃばれない。ばれなきゃ問題ない。

 あっ、ボールペンを足の間から地面に落とした。

 

 股を開いて、胴体を膝の間に突っ込む形で手を伸ばしてさ。

 

 そしたらこう……ビリッとね。

 逝ったよね。古いスーツの股の部分と、あと人としての尊厳が。

 おいまじか。俺いま生ケツなんだぞ。

 小学生のころにズボン裂けたことあったけど、そのときすらブリーフは履いてたわ。

 ……大丈夫だ。まだ大丈夫。言わなきゃバレない。バレなきゃ問題ない。

 いや、言わなくても見られたらバレるが、立たなければ見られない。

 何食わぬ顔で、引き出しから黒いダブルクリップを大量にポケットにインして、全員の視界を確認するんだ。トイレ通路主任コピーを取りに立った。今しかない。今しかない。後ろを向け後輩。今だ!

 というわけで俺は何事もなくトイレにたどり着き、ダブルクリップズボンの裂け目をどうにか繋ぎ止めたのだった。

 いや、何事もなかったと信じているだけだが、確認さえしなければ何ごともない状態は今も存在しているのだ。シュレディンガーの生ケツだ。今はシュレディンガーダブルクリップを感じながら書類仕事のふりをしているのだった。いや、できるかよ。この状況で資料作成が。

 幸いにも車に行けば、運動用の服がトランクに入りっぱなしになっている。終業ギリギリで誰よりも先にダッシュだ。 

 ああダブルクリップつめたい。やや空気椅子気味なのがきつい。 

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