イエイヌのエピソードで喧喧としてる2だが、なぜ2がこうなったかと言えば主人公キュルルのキャラ付けに(現状では)失敗してるからに他ならない。
そもそもキュルルは放送前の発表では名前を伏せて「子供」という表記でクレジットされていた。
子供というからには子供なのだろうが、けも2ではキュルルの子供という属性を表現するにあたって描写すべき重要な要素が(意図的になのか)欠如している。
それは両親の存在だ。
そもそも、目覚めて場所も時代もわからない「子供=キュルル」が一番に思い浮かべるのが「おうち」というのはかなり突飛なように思う。
なぜ両親の存在を無視するのか?おうちに帰りたいと思うのはそこに家族がいるからでは?
おうちの件を飲み込むにしても、それ以降で家族の存在を思わせる描写を入れないのは如何にも解せない。
例えば、キュルルが寝言で「お母さん」とこぼすのをサーバル達が目撃する。これだけで済むことを何故しないのか?尺的にも構成的にもいくらでも入れるタイミングはありそうなものである。
この描写不足により、哀れにもキュルルは視聴者に良い意味での「子供扱い」を受けられずにいると思う。
本来庇護されるべき子供が大自然に一人取り残されたという状況ならば普通、視聴者には同情的に見られる。
ある程度、不合理な行動をとっても子供という立場と状況の不条理さで視聴者の受ける印象は変わる筈だ。
ところがけも2ではその前提となる「庇護されるべき子供」という描写が欠けており、現状ではよくわからんクソガキと思われているに過ぎない。
これが可哀想なクソガキぐらいの印象だったのなら、クソガキの成長ストーリーとして本作を捉えることも出来たような気もする。
製作はあえてミスリードを誘っているのかもしれないが、9話に至るまで大した盛り上がりも作れず、キュルルの魅力をそこまで描けていない現状を見ると、それは単なる出し惜しみとしか思えない。