2018-10-27

ドラえもんにあこがれた男の末路

小学生のころか、あるいはもっと前か覚えていないが、とにかくぼくはドラえもんにあこがれた時期があった。

別にドラえもんというキャラクターにあこがれたわけじゃない、未来の道具やら……、そう、すこしふしぎ世界観にあこがれた。

二次創作ではのび太科学者になってドラえもんやらタイムマシンやらどこでもドアを作ることになっていたりするが、並で平々凡々のぼくにはそんなものにはなれまい、と最初から諦めていた。

ならば目指すべきは何か。

特に意識していたわけではない。

ただただ漫然と生きてきて、そうして気づいたことがあった。

野比家の再現を目指していたみたいだった。

ここで野比家を振り返ってみよう。

両親、子一人、ペット一匹、練馬区に住んでいて、庭付き二階建て、車はない。

バスに乗っている様子もなく、徒歩で商店街へ行っていることから、駅歩圏内である事がわかる。

野比家には車がないので車に興味はわかなかった。

免許は取ったが買ってない。

バギーちゃんくらいの自動運転車が発売されるのを待つつもりだ。

もちろん自転車もない。

さて、ぼくはサラリーマンになった後、結婚してまず家を探した。

もちろん、二階建ての一軒家だ。

車道沿いに庭を作れるほどの分譲戸建ては、必ず駐車場が作られる。

しかし広い土地を買って注文住宅を建てるほどの金銭的余力はないし、駐車場が作れるのに作らない道理はない。

そこで、旗竿地の家を買うことにした。形状が異なるがある程度はしかたない。

練馬区駅歩圏内旗竿地の庭付き二階建てを探すのは本当に大変だった。

2年ほど探しまわって、ようやく市場に出てきた。

なんとか予算内だったので即座に月賦で購入した。

引っ越した後、めでたく懐妊し子を産んでもらえた。

大変かわいい女の子だった。

そして1年ほど経って気づいたわけだ。

野比家の生活を目指してたんだなって。

今度、たぬきを飼おうと思う。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん