事前にブロックする理由を告げられ、それに了承し、ブロックされることとなった。
理由は憧れの絵描きが「劣等感に耐えきれなくなった」というものだった。
作品に触れ、あらためて彼女の絵を見て、なんてこの人は作品の魅力を写し出すのが上手いのだろうと思った。彼女自身の絵の魅力と、作品の魅力の調和は素晴らしいものだった。
半年ほど鍵からROM、もといストーキングしながら、10年前に折った筆を引っ張り出しひたすら絵を描いた。描く楽しさを思い出させてもらった。彼女の絵が、たまらなく好きだった。それを伝えたくて新規にアカウントを取得し、フォローし、はじめてリプライを送った。
彼女と私は相互になった。様々なことを話すうち、彼女は私が絵を描くことを知った。
私は自分の絵を公開する勇気がでなかった。それでも彼女は私に色々なアドバイスと勇気をくれた。
投稿してわかった。
彼女は私が筆を折る前のファンだった。彼女は私の絵を切っ掛けに、絵を描き始めたのだった。
絵を投稿するまで7人だった私のフォロワーは一気に増えた。彼女のフォロワー数を一気に追い越し、私の落描きが彼女の素晴らしい絵の10倍の評価を得た。
しかし彼女の絵を評価してくれる存在はほんの一握りだった。「彼女の絵を褒めればフォロバしてもらえる」と噂がたっていた。
一年ほどすると私が絵をあげる度、彼女はスランプに陥るようになった。
『好きなのに見ていると辛くなる』、『自分が描ければよかったと思ってしまう』、『どうしても意識して似たような絵を描いてしまう』とtosで嘆いてはツイ消しを繰り返していた。私の折れた筆を直してくれた彼女の筆を、私が折ってしまいそうになっていた。だが、どうすればいいのかわからなかった。彼女はただひたすらに孤立していた。
その頃にはリプライにも絵にも反応がなくなり、ピクシブのまとめにブックマークがつくのみになっていた。
私は彼女の絵が好きだ。絵を描くことも。彼女が私をミュートしたとしても、それで彼女が平穏に過ごせるのならそれで良かった。たとえ彼女に伝わらなかったとしても、伝えずにはいられなかった。描くことをやめられなかった。10年前、孤独に耐えきれず筆を折り姿を消したことを思い出していた。
私を通じ彼女のフォロワーも増えた。だが彼女は、それを自分のフォロワーだと思えず嘆いていた。虎の威を借りているようだと。
私は虎ではない。虎であったとしても、私は彼女の絵が変わらず好きだった。
絶対に貴方をブロックしてしまうと思います。 私も趣味ながら絵を描く人間です。最近また創作アカウントなんて作って投稿し始めたけど、実は何度もアカウントを作り直しているよう...
交流がなくとも素敵な絵であることに変わりはないので 相手の負担にならぬよう以前のようにROM寄りで応援していきたいと思います。 丁寧なアドバイスありがとうございました!