たとえばあなたの職場に誰か嫌いな人がいるとする。仮にAさんとしよう。Aさんは客観的に見たら悪い人ではない。でも、外見のせいか、それとも昔嫌いだった人に似てるからか?とにかくあなた自身も理由が分からず、ただただAさんに嫌悪感を持たざるをえないのである。
そのことを上司のBさんに相談すると、「人を嫌いになるのは良くない。どんな人にも良いところがあるのでAさんを好きになるよう努力するべき」と言う。
しかしどんなに努力しても、生理的に無理なものは無理なのである。
すると、あなたがBさんのアドバイスを真に受けてしまった場合、「Aさんは悪い人じゃないのにAさんを嫌いな私は罪深い」と考えてしまう。
あるいは、あなたがより精神的に未熟だった場合、状況との矛盾を処理できず、「Aさんは自分と同じ世界に存在してはいけない」と考え、Aさんをコミュニティから排除しようとしたり、あたかもAさんに人権がないかのように振舞ってしまうかもしれない。いわゆるイジメである。
どちらに転んだとしても、原因はBさん的思考(人を嫌いになるのは良くない)にある。
しかし多くの人はBさん的思考を子どものころに教え込まれた経験があるのではないだろうか?
「Aさんは良い人だと私は思う。でも、どうしても嫌いだったら仕方がない。そのことを公に口に出したり態度に出してはいけない。そして仕事に影響が出ないように努力しなさい」
より簡潔に要点を言うなら、「何を思おうが、思うだけなら自由」ということである。
人によっては「当たり前じゃろ」と思うかもしれないが、現実には「思うだけで罪」の思考に囚われストレスを抱えたり他人を攻撃する人間が溢れている。原因は色々だろうが、やはり教育が担うところが大きいのでは、と直感的には思える。Bさんみたいなこと言う教師、いたでしょう。それこそがイジメや差別の原因となっているとは思いもせずに。
思想犯は必要だぞ 思うだけで罪 思うだけで悪 お前は社会を潤滑にするため 無理をしてでも好きにならねばならない