どんな親父かと言えば想像通りの野球バカ親父だと思ってくれれば間違いない。
当時の子供の例に漏れず、無理矢理やらされる野球よりもテレビゲームの方が凄く好きだった。
親父は「テレビゲームなどくだらない。外で遊べ」と当たり前のように言う人というのは想像通りだろう。
俺の要望が通りやすい年一回の誕生日プレゼントですらテレビゲームでも野球ゲームカセットでうんざりした記憶がある。
俺も親になった。
親になって手探り状態で子育てしている真っ最中だが、香川大学教授の発言を見て親父との思い出を久々に思い出して今書いている。
野球ゲームカセットを買った後に、親父はよく野球ゲームカセットで遊ぶようになった。
突然、俺の部屋に来て「ちょっと付き合え」と居間に連れて行かれ、かなりの頻度で一緒にプレイした。
親父は俺のプレイングにグチグチと「その配球は悪い」だのなんだのとケチを付けて来て、ゲームの時間までこうなのかと思っていた。
ただ、親になって気付いたことは「あぁそうか、親父なりにコミュニケーション取ろうとしてたのか」ということ。
テレビゲームがくだらないと思っていたのは事実なんだろう。外で遊んだほうが子供の情操教育に良いと考えていたのも事実なんだろう。
だけど親父は自分の理念を曲げて、得意であるはずがないテレビゲームを1人でプレイして練習をし、息子とのコミュニケーションを取るため俺を誘っていた。
野球観戦に連れて行かれたり、プロ野球選手が来る野球教室に参加させられたりしたけど、よくよく考えたらそういう日はレストランで外食をしていたり、ゲームセンターに連れて行ってくれたりしていたなと思い出した。
餌で釣り上げれば息子も野球に興味を示すだろうという計算があったかも知れない。
ただ、野球バカだから野球を通してでしか息子とコミュニケーションを取れなかったんだなと思うと、ちょっと笑ってしまう。
俺は野球が嫌いだ。
でも親父は悪いやつじゃなかったと思ってる。