何年にも渡って公式と同人の両輪で膨大な物語が生み出され続けるコンテンツがあるかと思えば、Twitterでバズった10秒で読める短編漫画が速攻で書籍化されたりもする。
プレイ時間が100時間を軽く超えるようなRPGが流行っているのと同時に、隙間時間にちまちまとプレイするスマホゲームが流行ってもいる。
ひと昔まえには存在すらしなかったようなマニアックなジャンルの作品がアニメ化されている。
萌え4コマなんてものが流行って大量にアニメ化されていると聞けば90年代の人は驚くだろう。
かつてとの違いがあるとしたらここだ。
圧倒的に多様化しているのだ。
だから探そうと思えば「ストーリー性の薄い作品」も「ストーリー性の濃い作品」もいくらでも見つけることができる。
ストーリー性の薄い作品だけをことさらに取り上げて「ストーリー不要の時代だ」と嘆いてみせることもできる。
人はしばしばその部分を見誤りがちで、「アイドルアニメばかり好きなやつ」「異世界ファンタジーしか読まないやつ」などといった想定をしてしまうが、
多くのオタクは、長い作品も短い作品も明るい作品も暗い作品もシブい作品もエロい作品も、同時に摂取して楽しんでいるのだ。
多様性があるって素晴らしい。
面白いのは、ストーリー性の薄いものを否定し、ストーリー性の濃いものをもっと作れと主張する側が、何故か「多様性の擁護者」を自認しているところだ。
彼らの頭のなかでは「ストーリー性の薄いものしか読まない最近の若者に真のエンターテインメントを教えてあげる年長者」といった幻想が作り上げられているのだろう。
くわばらくわばら。