脱工業化が進み、経済が成熟している世界中の先進諸国においては、どの国でも少子化が進んでいるという。それらの先進諸国の経済を支えているのは、昔ながらの重厚長大産業や家電産業などではなく、高付加価値を作る高度製造業やサービス業だ。一例をあげるとすれば、iPS細胞の再生可能医療であり、これは日本やアメリカと言った成熟した先進国でこそ可能な仕事であり、新興国にはまだ早い、というより不可能だろう。
そのような高度製造業が主要産業になった先進諸国で求められる人材とは、はっきり言ってしまうと「凡人はいらない」、という結論になる。日本やアメリカ、欧州諸国で求められる人間とは、頭が良くて、スマートで、容貌が普通以上で、コミュニケーション能力が高い人材と言うことになる。能力は普通で、何のとりえもない人間は今後も生きづらい世の中になるのではないか。そう考えてみると、少子化は当然の帰結だとも言える。普通の人間そのものが社会から求められていないのだから。
時代の転換点は、やはり1990年代のバブル崩壊後だと思う。日本のお家芸であった家電産業のシェアが新興国に奪われ、日本はそれらに替わる新しい「儲かる産業」を作り出す必要があった。あれから約30年が経過したが、ようやく日本にも高度産業が生まれつつある。日本で一番集積が進んでいる場所は、大阪と神戸かな。その代償として、日本は少子化が進んできているということ。