祖母が亡くなった。
それから寝たきりで
脳梗塞になり、しゃべれなくなってあっという間だった。
私が大学で上京してからは、お正月に顔を合わせる程度になっていた。
在学中、「美味しいもん食べなはれ。たまには元気な声きかせて」と
ダンボールにいっぱいの食料を詰めて
絵葉書と共に送ってくれていた。
ほおずき市に連れて行った事を今も覚えている。
二人して安いお鮨やさんに入って、おいしいおいしいと言いながら
たくさん食べた。
「結婚するなら、優しい人にするんやで」
色々と説教をされていた気がする。
ありがたくも、少し鬱陶しく感じていた気もする。
そうこうしているうちに
これとこれをあげる、と 大事なネックレスやブローチを中から出して
私に手渡し、「自分が死んだら、中のもの全部持ってってええ」などと言うが
そんな辛気臭いこと言わないで、あのババアまだ生きてる!ぐらい長生きしようと
二人で笑っていた。
先日、祖母の遺品を整理していた時
ふと、宝石のケースを思い出し のぞいてみた。
中に宝石らしい物は何もなかった。
その代わりに、私と一緒に撮った写真や、在学中書いてあげた手紙や、
小さい時に作ってあげた折り紙などが入っていた。
東京遊びにおいでよ」