もう10年以上前になるだろうか。当時の職場に25前後の女性が入ってきた。
なぜか俺が教育係に抜擢されてしまい、上司(女)と新人と3人で、顔合わせを兼ねて昼ごはんを食べに行くことになった。
上司と新人は、午前中の面談(雑談と就業規則説明)で既に仲良くなっていた。いや、後から考えると、なんか上司がすごく優しかった。まるで母親のような優しさ。
料理が届いた。
新人「あの増田さん、よかったら私のご飯も食べていただけませんか?」
俺 「いいの?おかわりしようと思ってたから、食べられるよ」
ここで上司が目をうるませながら語りだした。
なんでも彼女は、幼いころに両親が離婚し、伯父(叔父かも?)夫婦の養子になったらしい。
しかし血の繋がっていない義母から愛されることはなく、食事は他の家族とは別のものを出されたのだそうだ。
みんながご飯を食べている時に、パンやうどんを食べさせられたのだと。
それがトラウマで、一人暮らしを始めた今でも、ご飯を食べると気分が悪くなるから、食べられないと。
ん?
待て待て。その話を真に受けたのか??
それは、米アレルギーだぞ。
× 愛されていなくてお米を食べさせてもらえなかった。
○ 愛されていたからお米以外を食べさせてもらえた。
だぞ。
毎食毎食、わざわざ米とは別にパンや麺類を用意するのが、どれだけ大変か。
献立によっては、パンに合うようにアレンジもしてくれただろう。
(お前の言葉を借りるなら)血のつながっていない、義理の姪のためにですよ。
すごく優しいお母さんじゃあないですか。
ということを、やんわりと言いました。
場がしらけました。