2017-04-11

[] #21-3「未来ガイド

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「じゃあ、お前が未来から来たってのは分かった。信じよう」

「や、やっと信じてくれた……じゃあ本題だけど」

「でも、お前の話を全面的に信じるかはまた別の話だろう」

「えぇ……」

未来からたことが事実であっても、そいつの語ること全てが事実保障なんて何一つない。現状確定しているのはお前が未来人だという点のみだ。お前の言うことが本当かどうかは、その都度判断するに決まってるだろ」

のび太なら信じるよ」

現実フィクション混同するんじゃない。あと、そいつ基準にするのもやめてくれないか

「……」

「お前が未来人だと確定しても、お前の話を信じない理由はいくらでもあるぞ。例えば、同じ時代からきた人間が2人いたとして、そいつらのする未来の話が食い違っていたら俺はどちらを信じればいい? 未来からたこ自体事実でも、そいつらがする他の話まで事実である保障なんてどこにあるんだ?」

「それは……信じてもらうしか

「話が振り出しに戻ったな。だから『信じさせてみろ』って、さっきから何度も言ってるんだが」

俺が頑なにも見えるかもしれないが、考えてもみてくれ。

こいつが未来人だろうがなかろうが、不審人物である事実は揺らがない。

なんで、そんな奴の話を鵜呑みにしなければならないのだ。

ティーンエイジャーの俺ですら分かることである

「後さ、いきなり押しかたことに対して何か言うべきことがあるだろ。更に庭までこんなにしやがって。礼節やコンプライアンスをわきまえろ。お前のいた未来ではそういったものがなくなっているのか? 仮になくなっていたとしても、信頼を得たければ郷に入っては郷に従うものだろう」

とうとう返すべき言葉がなくなったらしく、彼女は唸り始める。

すると突然、声を張り上げながら退散した。

「もういい! そっちに信じる気がないなら、いくら話をしたって無駄だ! あんたに未来を託したボクが愚かだったのだ!」

結局、未来人を自称するそいつはどこかへと行ってしまった。


俺も些か頑なであったかもしれないが、仕方が無い。

彼女は実は本当に未来人かもしれないし、そして言っていることも全て本当だったかもしれない。

その可能性が全くない、と断言するつもりはない。

まり“信じるかどうか”ということだ。

そして人は信じたいものしか信じない。

信じるかどうかは俺の問題だ。

だが信じさせたいならば、それは彼女がどうにかすべき問題なのだ

彼女は信頼を勝ち取るような人格者ではなかったし、何より説得力がなかった。

まあ、もしも俺が未来人だとして、彼女のような使命があるとしよう。

だったら、少なくともエイプリルフールの日にタイムスリップすることだけは避けようとするだろうな。

人には“信じる理由”が必要だ。

ましてや“信じない理由”があるのなら尚更な。

(#21-おわり)
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