息の長いシリーズで、自分の倍以上の年月をファンとして過ごした人も少なくないし、
それこそ、人生の一部として捉えている人もいるだろう。
シリーズは一度消滅の危機になるまで落ち込んだが、今は盛り返している。
再度の隆起に伴い、ご新規さんもだいぶ増えた。
ここからはファンコミュニティの話になるけど、ついに来年、イベントを開催する人まで出るようになった。
ぜひ参加しようと心を躍らせながらイベント概要を一読し、その気持ちは急激に萎えていった。
イベントの対象は「最新作」と「過去の人気作品」だけで、他シリーズ作品は全部切り捨てられていたからだ。
ちなみにその2つはほとんど関わりがない。せいぜい、ほんの少しばかりに懐かしさを匂わせる要素があるだけである。
過去にも、ごく小規模ながらイベントが開催されたことがあったが、その際は全作品を対象としていたり、
あるいは最新作のみを取り扱っていたのだ。
なぜそんな中途半端なことをするのだろうと思い、主催者の過去の言動を見たが、
要約すると過去作品はおよそ知らないし触れたことがないが、それでは忍びないので「過去の人気作」は対象にするとのことだった。
ごく個人の話をすると、私はシリーズが落ち込んだ時の作品こそ愛していた(※最新作も大好きだ)。
仄暗さのある作り込まれた設定と、その世界観で生き生きと過ごすキャラクターたちが、私の胸には今も鮮やかに息づいている。
だけど、シリーズ全体として見れば不人気で、嘲笑さえされており、そんな声を聞くたびに笑顔で流しつつも心で泣いていたし、憤りもした。
まだこのシリーズに触れて幾ばくも経っていないのに、イベントを開催しようとする行動力に私は感謝しなければならない。
なぜシリーズの全ての作品を対象としないのか。せめて最新作のみが対象ならば諦めもついたのに。
ずっと主催者氏の言動を追っている。異常な行動と認識しているが、半ば無意識的に追っている。
過去作ではそんなことがあったんですね、などと宣うたび、そんなことも知らないのかなどと老害の心が芽生えてくる。
いつか来る終わりを間近にして、斜陽がいつ落ちきるのか、戦々恐々と見つめていた日々を覚えている。
人は人だ。来る者拒まず去る者追わずが理想だけど、できればみんな、ずっとここにいてほしい。
だけど一度目が出て育ちつつある老害の心は、最新作しか知らないのに、何を知ったように語るのかと嘲ってしまう。