2016-11-09

去年の今頃、私は何物にもなれる存在だった

去年の今頃は私は何にでもなれると思っていた。

いたことのある会社、好きだなと思ってた会社

やったことのない仕事だってどんどん取り組んで頑張ろうと思って、

一年後の今頃自分がどんな可能性を手にしているのか楽しみに思っていた。

文章を書くのはもともと好きだからエントリーシートほとんど通過した。

勉強だって嫌いじゃないか適性試験ほとんど通った。

人と話し合って作業を完成させるのが好きだからグループディスカッションも落ちなかった。

就活が楽しくて仕方がない時期は、面接が始まってから突然終わった。

面接に通らない。

十社受けたら十社とも一次面接から進めなくなる。

悪いところをきちんと見据えて対策した。話が長い、質問が甘い、直してみた。

二次にいけるようになった。二次面接に通らない。

理由が分からないまま、対策を練った。どうにか最終に行けるようになった。

最終面接以上の結果が出なくなった。

これまで考えたことのなかった業界にも取り組んだ。

面接に受かりたいがために、その会社での過ごし方を妄想した。

こんな働き方をしたい、

こんなキャリアを目指したい、

こんな仕事がやってみたくて、

こんな結果を残したい……

選考で何度も企業に行くたびに、その企業への愛着を深めていく。

そして最終面接で落とされる。

就活のやりかたを変えてみた。

新しい求人の探し方をやってみた。

時間無駄だった。

これまで遭遇したことのない、不愉快な思いを選考のの過程で受けることが増えた。

いつからか、面接で落ちる度に泣くようになった。

受けた会社の数だけ泣くから、受ける企業の数を増やすことができなくなった。

最後企業から落選通知を受けたとき

自分のやりたいことが目の前からなくなっていることに気がついた。

何もやりたくない。

あんなになんでもやってみたかったのに。

就活を本格的に初めて十ヶ月、

手に入れたのは自分社会必要のない存在だったんだという実感だけ。

それだったら、二月の段階で、誰かにそう教えて欲しかった。

そうしたら、もっと有意義に、幸せに十ヶ月を過すことができただろうに。

インターンが始まった。

何物にもなれる存在の人たちがたくさんいる。

彼らのうちの大半が何物かになるのだろう。

そして何人かが、何物にもなれないのだろう。

そんな不確定な彼らが、妬ましい。

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