ふと思い出したので書いておく。
10年以上前の話になるが、安っぽい恋愛ストーリーの登場人物になっていた時期が自分にもあるのだ。
それは中学の頃の話で、中学の何年だったかまでは覚えていない。
地元で一番大きな夏祭りに、そこまで親しくない友人に誘われた。
彼はそこそこモテる男であり、自分は数合わせの添え物なのだと感じた。
親しくないとは言え、同じ部活動に所属し、家に遊びに行ったこともあるぐらいの仲で、しつこい懇願を断ることもできなかった。
待ち合わせの場所で合流する。
女子の一方は案の定、彼のことを好きだと噂される子であり、予想を裏切らなかった。
もう一方はどうか。自分と幼馴染で気の強い女子であり、なるほどこの2人で彼を取り合うわけかと1人納得していた。
彼は女子の1人から「お小遣い」をもらっていたようだが、当時の自分は気にしなかった。
いいなー俺も欲しい!ぐらいの気持ちであろうか。
しばらく4人で屋台を回った。
ダブルデートと呼ぶには歪で、2+2ではなく3+1の構図・・・のはずだった。
幼馴染が諦めたのか、彼ともう1人の女子を2人きりにしてあげるというようなことを言い出し、必然的に自分と幼馴染2人で歩くことになった。
無言のまま歩いた。
失恋しているのだろう彼女に、なんと声をかけたら良いのか分からなかった。
ここで1つ問題がある。当時、自分には好きな幼馴染の子が別におり、彼女もそれをよく知っていたのである。
この子と付き合いたいのなら私の許可を取ること、といった会話をしたことを覚えている。
そして自分の住む町は田舎、学年にカップルは数組いるが、それは連絡網のごときスピードで伝達されていったことを思い出す。
すぐ茶化される目に遭うのは目に見えているし、もっと現実的な問題として、付き合った男女が何をするのか分からなかった。
色々な思考が頭を巡り、答えることができず、言葉を濁すだけであった。
あそこにかっこいいお兄さんがいる、みたいな、そんな話をしていたと思う。
彼女が立ち直ってくれて良かったと思った。