(1) いつも思うんだけど作品を作るうえでテーマや政治的主張って必然的に生まれてきちゃうもんだと思うんだよね。
(2) 例えば今回だったらゴジラのスペックをどうしようかって話になる。
初代ゴジラを模倣(サンプリング)するなら、ゴジラは歩くだけで半端ない放射線をまき散らし、歩いているだけで子どもを殺傷しまくるレベルになる。
でもそれだと、原発を巡る問題について、原発全否定とも取られかねない強い立場になってしまう。
庵野は今回そちらに舵を切らなかった。普段まき散らす放射線量は少なく、半減期も短いものとした(作中「福音」とも称される)。
岡本喜八『日本のいちばん長い日』を模倣するなら、官僚・政治家が利権争いに夢中で、ぜんぜん協力し合わないでさらに悲惨な状況を招くっていう描き方になる。
でも本作でそれをやってると、結局、災害の問題についてはどうしようもないんだよ、諦めな。みたいなニヒリスティックな立場になる。
エヴァでシンジとアスカを除いて人類をすべて滅ぼしてしまった庵野にとって、別にこういう立場を採ることも可能だった。
しかし今回庵野はそちらに舵を切らなかった。「どんなに大きな危機でも、みんなで立ち向かえば必ず克服できる」というポジティブな結論を採った。
(4) 結局ストーリーを組み立ててる過程で、どういう意見・立場に立つのかっていう選択に迫られることにはなると思うんだよね。
ないよ。 庵野は、サンプリングして曲を作るDJみたいなものだ。 それは今までの作品を見てれば、分かるよな? みんなが褒めてるコピー機並べるシーンだって、踊る大捜査線で見たろ...
いつも思うんだけど作品を作るうえでテーマや政治的主張って必然的に生まれてきちゃうもんだと思うんだよね。 例えば今回だったらゴジラのスペックをどうしようかって話になる。 ...