太る人もいるらしいけど僕は痩せた。独り暮らしだったから食材を買いに行くのも辛くて。
その内、薬と休養が効いたのか、ネットは見れるようになった。テレビは無理。騒がし過ぎて。あとはラジオ。AM。おしゃべりが中心だから小さな音で流していれば少しは寂しさがまぎれた。
ネットを見ると薬の副作用の情報や鬱に対する偏見なんかも見てしまう。落ち込んだりもしたけどやめられなかった。社会に開いた窓はネットしかなかったから。
もう少し回復してくると散歩が出来るようになったり、恐る恐る町に出て行くこともできるようになった。駅前まで一人で出かけることができた時は泣いたよ。
同じ頃だったと思うけど、性欲も回復してきた。鬱まっ盛りの時は微塵も感じられなかった欲望が蘇ってきたのは正直嬉しかった。
性欲があってネットがあったらエロ画像見ますよね。見てしまいますよね。家ですることなんかないんだもん。出掛ける場所も用事もないんだもん。そりゃ見ます。
匿名のSNSで鬱の辛さを吐きだしたりもしたけど鬱陶しいと思われるだけだった。みんなわざわざ暗い話なんか読みたくない。ブログもやったけど誰もアクセスしてこなかった。そんなもんです。
tumblrではエロ画像をリブログしポストし続けた。こればかりは反応がなくてもやる価値があった。エロ画像スクラップとして。
続けているとtumblrには反応があるようになった。LikeやReblogされるようになった。みんなエロ目的だけど。一日で100とか200の反応があった。沢山フォローされた。反応といったってLikeやReblogだけで何も言葉が返ってくるわけじゃない。でも俺もその画像が好きだという気持ちは感じる。みんなエロだけど、小さな連帯感というか共感みたいなものをそこに感じた。勘違いかも知れないかも知れないけれど僕はそう感じた。
あの頃の僕に反応してくれたのはtumblrのエロ職人だけだった。それがどれだけ励みになったか。たかがエロだけど唯一僕を認めてくれる世界がそこには確かにあったんです。