ここ数日増田がゴキブリゴキブリとうるさいので、罵倒語としてゴキブリを使う新たな流れがきているのかと思いネットを探索してみたが、特にそういうことはないようだ。一時大増殖した「低能」と同様少人数によるムーブメントなのだろう。
このゴキブリ瞬間ぶっ殺し薬剤なんだけど「ソルベント」っていう画材が一撃必殺の威力を誇るのでオススメ。
その証拠に画材のくせにカスタマーレビューがゴキブリについて書いてある
http://www.amazon.co.jp/dp/B006JHAQ70/ref=cm_sw_r_tw_awdl_0eSCvb0T9B8PH …
というのがヒットする(https://twitter.com/Enbos/status/607121783980834816)。
お前なあソルベントってなんだよ一般名詞を商品名にするのはやめろってお父さんあれほどいったでしょ、と思ったが、この名前で20年以上販売されているようだ。これはもう、今さらやめろといっても仕方のないことである。
それはさておき、このソルベントなる液体の主成分は、おそらくアセトンだろうから、あまり濫用するべきではない。よほど狭くて密閉されたところで使わない限りMSDSでいうところの管理濃度に達することはないが、傷口や目についたりするとすごく痛い。ましてコンタクトレンズについたら痛いではすまない。量にもよるが、床の塗装もはげる。化学系の研究室では、ドラフト内で使用するように指導されている、はずである。
…とここまで書いておいてなんだが、実はおれも学生の頃、研究室のゴキブリ退治にアセトンやその他の溶媒を使っていた。
当時学生の間では、「ゴキブリに液体窒素をかけたけど逃げられた」「やっぱりアセトンだよね」「THFで瞬殺だぜ」(一応書いておくと、THFは過酸化物を生成するためこのような使い方は非常に危険である。真似するのはやめよう)などという会話が日常的に行われていたが、やはりそれだけ安全教育がゆるゆるだったのであろう。
参考までに書いておくと、おれの経験ではゴキブリに最も有効な有機溶媒はジクロロメタンである。その威力を一言で表現すると、瞬殺無音、実験器具の洗浄に使う関係で常に手元にあるため使いやすく、アセトンよりさらに即効性があり、もちろん爆発性という点ではTHFよりはるかに安全である。
ただ残念なことに、ジクロロメタンは有機溶媒のなかでもかなり有毒な部類で、PRTR法で厳しい管理義務を課せられており、もはやゴキブリを見つけたからといって気軽に使うわけにはいかない。
ソルベントもだめ、ジクロロメタンもだめ、ではいったいわれわれはどうしたらいいのだろうか。
季節はこれから夏にむかう。奴らの姿を見かける日も多いだろう。しかしわれわれは、最強の切り札を封印したままゴキブリとの戦いを続けなければならないのだ。終わりのない戦いを…。