2014-07-21

あの頃の自分漫画惡の華』を読んだらどう思うだろう

以下ネタバレ含む。

自分は、学生の頃にリアルタイムで、エヴァ旧劇とかリリィシュシュとかヒミズとかを観ていた世代だ。

ああ言う救いの無い作品を観た時の、絶望感に浸る感覚が好きだった。

当時は商業主義丸だしのエンタメ作品なんて、クソ食らえだと思っていたし

そんなものを好むやつを、心の中で見下していたと思う。

さくらの唄も、ワールドイズマインも、人間失格も、ノルウェイの森も、絶望の世界も、レディオヘッドも、その頃に出会った。

自意識過剰自己顕示欲の強い、典型的サブカル被れの痛い学生だった。

年齢を重ねるごとに、そう言う選民思想みたいなものの痛さも知り

付き合っていた彼女の影響もあって、売れてるものには売れるだけの理由とか魅力がある。

って言う風に考えがシフトチェンジして、今はワンピースミスチル伊坂幸太郎も好き。みたいな

10年前の自分が観たら、ドつかれるような人間になった。

そんなアラサーになった今の俺が『惡の華』を読んだ。

この作品は救いの無い中学生編(まさに現代リリィシュシュのような)と

登場人物が成長して、心の救済を得る高校生編に分かれている。

読後に、これは傑作だと思った。

そう思えたのは(ネットの評判を見ると割と蛇足とされる意見の多い)高校生編の展開があったからだ。

中学生編で終わらなくて良かったと心底思う。

登場人物過去と決別して、普通幸せを手にする過程は読んでいて心地良かったし

その後の未来を読者の想像に委ねる終盤も良かった。

絶望だけで出来たような物語を、もう今の自分は求めていないのだと改めて思った。

誰かが不幸になる話なんてクソくらえで、どうせなら登場人物幸せになって欲しい。

そう思うのは自分が歳を取ったからなのか、時代の流れがそうさせるのか。

今は、綾波がポカポカして、アスカが鳥に食われない時代なのだ

でも、あの頃の自分惡の華を読んだらどう思うだろう。

救いなんていらねえよって思うんだろうか。

焼身自殺で終われよって思うんだろうか。

なんとなく、そんな事を考えた。

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