偏差値の高い学校は往々にして男子校であるが、僕の中学校もその例に漏れなかった。
そのままエスカレーター式に高校へ入り、理科が得意だった僕は物理や化学の問題を自由自在に解くことができた。
文理選択では迷うことなく理系を選び、工学部の機械専攻に進んだ。男女比は9:1とかそういう世界である。
四年間力学だとか制御だとかプログラミングだとかを一生懸命勉強し、産業機械を作る会社に入社した。
で、なんだこれ。
この間珍しく同期に合コンに誘ってもらったのだけれど、10年近く女性のいない環境で暮らしてきた自分に気配りだとか盛り上がる話だとか、できる訳がない。控えめに言っても、文系出身の営業の奴らに敵う訳がない。
どうやらこれぐらいの年齢になると、それぐらいできて当然だし、できない奴は恋愛対象としても見てもらえないらしい。
それどころか、地元の連中はぼちぼち結婚しだしたし、親からその手のプレッシャーを感じることもある。結婚できないと出世もできないという話も聞く。
なんなの。
理科が得意だった。それだけだ。
そのまま順当に進んできただけなのに、なんで詰んだんだ?
特に女を絶つと決心した訳でもなし。二次元に魂を捧げた訳でもなし。(僕としては)普通に生きてきただけなんだけど。
おかしい。
別におかしくねえよ。 女より理科が好きだっただけだろ。