今からアイディア出して作業に入ったとしても、そんなもんのクオリティはたかが知れている。
俺が明日大恥をかくのは明白だ。上から怒られ、下からは舐められるだろう。
1~2年目の頃はよかった。
同年代の連中にはまだ技術が無いから、センスとアイディアだけで勝てるんだよ。
期待されたね、「将来楽しみだ」って。
ただそこからの俺の停滞っぷりったらなかった。
俺は自信を無くして、自分の走り方が分からないまま、ここ数年同じ場所につっ立ったままだ。
雇用主は俺から興味を失い、業界内の居場所は徐々になくなっていく。
さて、そろそろクビの可能性も出てきた。
理由は単純だ。
そのジャンルが好きで作りまくる奴と、そうでない奴との差。
数年もすると実力として如実に表れる。
もちろん俺も好きでこの仕事をやってると思ってたけど、
化け物を数多く目の当たりにしてきて、おいそれと好きとは言えなくなった。
まぁ俺は承認欲求だったんだろうな。
でも変換効率めちゃめちゃ悪いよね。
愛されたいとか認められたいって願望を、無理くり別ジャンルの地道な作業にシフトさせるんだもの。
「ネガティブパワーで成り上がった」ってのは物語としては魅力的だけど、そんなもん嘘だ。
「好きだからやってる」っていうシンプルな動機で動いてる奴には絶対敵わないと思う。
俺のここ数年のモチベーションの低さっては、ある程度満たされてしまったからかもしれない。
浮かれたつもりはなかったけどね、業界に居場所ができた(と勘違いした)事で安心したのかな。
宮沢賢治の「告別」って詩がさ、胸に刺さるんだよ。
俺を歌ってるようでね。みんなはどうだい。
けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで
町と村との一万人のなかになら
おそらく五人はあるだらう
それらのひとのどの人もまたどのひとも
五年のあひだにそれを大低無くすのだ
生活のためにけづられたり
自分でそれをなくすのだ
すべての才や力や材といふものは
ひとにとゞまるものでない
ひとさへひとにとゞまらぬ
云はなかったが、
おれは四月はもう学校に居ないのだ
恐らく暗くけはしいみちをあるくだらう
そのあとでおまへのいまのちからがにぶり
ふたたび回復できないならば
おれはおまへをもう見ない
なぜならおれは
すこしぐらゐの仕事ができて
そいつに腰をかけてるやうな
そんな多数をいちばんいやにおもふのだ
心にぐっとくるようなこと
それさ、承認欲求じゃ好きでやってるやつに勝てないじゃ、全然無いと思うよ。 増田は最初の数年の「将来楽しみだ」って言われた時点で、承認欲求があらかた満たされちゃったんだよ...
好きじゃないから負けても仕方ないと思って幸せならそれで良いんだろうおまえの中で花