2012-10-04

確率論的には、裁判員裁判スタートから6件程度は「トンデモ裁判員法廷」が出現している

少し亀ネタだが、大阪地裁

発達障害『だから懲役を伸ばそう」という裁判員裁判判決があり、猛批判を浴びた。

裁判員制度制度設計として、

裁判員を6人も用意しておけば、極端な意見の持ち主が仮にいたとしても、

 それが多数派になることは、まあないだろう」という楽観主義に基づいて、制度設計したのではないか

制度設計時に、チキン統計学先生とか、呼んで議論したのだろうか?

仮に

殺人犯は、有無を言わさず死刑だ!」とか

韓国人はみんな潜在的犯罪者だ!」みたいな

「極端な意見を持っていて、それを法廷でも撤回しない、トンデモ市民モンスター市民」が

存在する確率を「10人に1人」と仮定する。

裁判員制度制度設計者の想定は、恐らく

「10人に1人程度の異常者が市民に紛れ込んでも、トンデモ判決が出現することは、まずない」

と考えていたのでは?

しかし、統計学的には、

「10人に1人のトンデモ市民が、裁判員6人の中の多数派(4人以上)を占める確率」は、

いくらなんだろうか?

6人全員が普通市民確率=0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.9=0.531441

6人のうち5人が普通市民、1人がトンデモ市民確率

=0.9×0.9×0.9×0.9×0.9×0.1×6=0.354294

6人のうち4人が普通市民、2人がトンデモ市民確率

=0.9×0.9×0.9×0.9×0.1×0.1×15=0.098415

6人のうち3人が普通市民、3人がトンデモ市民確率

=0.9×0.9×0.9×0.1×0.1×0.1×20=0.01458

6人のうち2人が普通市民、4人がトンデモ市民確率

=0.9×0.9×0.1×0.1×0.1×0.1×15=0.001215

6人のうち1人が普通市民、5人がトンデモ市民確率

=0.9×0.1×0.1×0.1×0.1×0.1×6=0.000054

6人全員がトンデモ市民確率=0.1×0.1×0.1×0.1×0.1×0.1=0.000001

ということで、

「6人のうち、4人以上をトンデモ市民が占める確率」は、

0.001215+0.000054+0.000001=0.00127=0.127%

http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/09_12_05-10jissi_jyoukyou/02.pdf

によれば、制度施行2009年5月から2012年1月までの裁判員裁判件数は4,840件

よって、制度開始移行2012年1月まで、4,804件×0.127%=6件程度は

トンデモ裁判員が多数派を占める法廷」で審理された、ということになる。

たまたま6件のうち一件が、大阪地裁トンデモ判決だった、というだけで、

確率論的には、「トンデモ判決が数回は出現することは、何らおかしくない」のである

制度設計者は

職業裁判官いるから、トンデモ判決が出そうになっても、歯止めを掛けてくれるハズだ」と

期待していたと思うが、昨今の法曹界の流れは、

裁判員意見を、極力尊重するように」という流れになっている、と聞く。

「よほどのことがない限り、二審でも裁判員判決量刑を追認する」という流れになっているため、

一審審理過程においても「職業裁判官は、むやみに裁判員を指揮できなくなってきている」らしい。

ということで、職業裁判員により指揮権発動もなくなると、

確率論の壮大な社会実験」の場に、裁判員裁判は堕してしまう、ということになる・・・

  • とはいえ、トンデモ職業裁判官も0.1%以上いそうな気がするし(名前忘れたけど、自分の主義主張のためにケースを使うキワモノが何人か地裁にいるとか聞いた)、その程度なら受忍すべき...

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