2022-03-23

神経内科専門医勉強のやり方(2021年度版)

先輩の書き残した増田ダイアリー自分勉強にとても役に立ったのでコロナ禍で実施された2021年度脳神経内科専門医についてのメモを残させていただきます

2019年度版についてはこちらの増田を参照。

https://anond.hatelabo.jp/20190730114905

レポートについて

2019年解説を参照してください。

ここでも述べられている通り、症例については、面接試験で主にここからの出題となるのでなるべくシンプル症例か、突っ込まれても答えられるように地方会で発表したような症例が良いように思われる。

考察が不十分な場合はそこで不合格にならずに一度差し戻されて再度書き直して提出するという救済措置がある。ただし、そのレポートについては2次試験面接でかなり突っ込まれるので注意が必要

試験勉強

2021年度はコロナ禍により元々6月であった試験11月に、そしてさらに延期されて2022年2月実施された。

試験時間を短くするため、以前は必修100問、一般100問、臨床100問であったものが必修100問、一般+臨床100問と出題数が減らされての出題であった。

内容、難易度については過去問とほぼ同等といった印象を受けた。

2019年度版の増田でも言及されている通り、「医学生研修医のための神経内科学」の範囲からは大きく逸脱はしない。

自分はあまり熱心に勉強する方ではなかったので、上記書籍通読せず参照するにとどめ、日本経学から出版されている「神経内科専門医試験問題 解答と解説」と復元された過去問2020年-2018年を2週行った。受験者ごとの点数の公表はないが、これくらいやれば平均点程度は取れるものと思われる。

また、一部繰り返し出題されている範囲があり、そちらについては真剣に覚える必要がある。

以下自分が気になった頻出される項目について箇条書きで述べる。

頚椎症の局在を答える問題。後骨間神経麻痺やC8麻痺の鑑別など少し変えて出題されるパターンもあるが、頻出。

・筋病理。perifascicular atrophyなど一般的な知識は抑える必要がある。

・SCAに代表されるリピート病。SCAの番号についても覚えていないと解けない。

・排尿に関係する神経機構。各受容体、神経支配は詳細に覚える必要あり。

・側頭極病変を呈する疾患。CADASIL, CARASILの他に筋強直性筋ジストロフィーが何故かよく出る。

・ギランモラレの三角と下オリーブ核の腫大。下オリーブ核の位置マクロ解剖で答えさせる問題なども出る。

・Papez回路。こちらもマクロ解剖での出題あり。

・NIHSS, ABCD2スコア, CHADS2スコア, HAS-BLEDスコア計算できるように。

・Balint症候群。臨床所見や画像で聞かれる(なぜこんなに頻出?)

・円錐上部症候群こちらはたまに出題される)

・伝導失語

家族ALSの原因遺伝子(たくさんあるが、SOD1, C9ORF72, TDP-43, Optineurin, ubiquilin2, SQSTM1, ERBB4くらい覚えていればなんとかなる。また、面接でもよく聞かれるらしい)。

また、直前に出版された新しいガイドライン(本年は脳卒中治療ガイドライン2021, 頭痛診療ガイドライン2021など)は読んでおく必要があると感じた。

病理

みなさん苦手な病理であるが(失礼)、筋病理に関しては日本経学e-learning勉強すれば十分である

複数の講座があり、内容が重複しているため2、3講座見れば十分である

以下におすすめの講座を記載する。

2020年3月26日「臨床で役立つ筋病理

2016年8月20日「筋病理ABC

病理以外の神経病理は「神経病理インデックス 新井信隆著」、東京都医学研・脳神経病理データベース(EBAN https://pathologycenter.jp)、「カラーアトラス神経病理 平野朝雄編著」などを通読するなどした。

今年の出題はなかったが、特徴的な脳腫瘍(髄膜腫、頭蓋咽頭腫など)については抑えておく必要があると感じた。

電子顕微鏡画像については再現も乏しいことや、出題数が少ないこともあり自分は捨てた。

1次試験

実施会場は東大ではなかったが、概ね例年と同じような雰囲気と思われる。

問題復元管理している某医局から医局復元の割当があり(1セクション2-3問)、それを暗記し試験時間が終わった瞬間にメモをとることが必要となる。

今年は問題数が少なくなった影響もあってか時間には余裕を感じた。

2次試験

今年はZOOMによる遠隔面接となった。試験案内には「神経診察やレポートの内容、臨床神経学についての口頭試問」との記載があった。例年行われていた神経診察の実施試験はなくなり、ハンマーなどは必要なかった。

試験時間は30分で内容は主にレポートの内容から出題された。その中でレポートで提出した疾患に絡めて「●●の身体所見は?」や「●●が疑われる患者が初療室に運ばれてきたらどのように診察をしますか」など実臨床に沿った神経診察に関する質問がされることがあった。前述した通りレポートで不備があった箇所やこれまでの研修経験が薄いと予想される分野(人によっては脳卒中など)が集中的に質問される傾向にあるようだ。

自分試験前に「ベッドサイドの神経の診かた」などを通読して胸郭出口症候群の診察法などマニアックな箇所を覚えたが、特に役にはたたなかった。二次試験面接官によって内容に開きがあるのでとにかくレポートの内容(レポート言及した診断基準遺伝子異常、必要な神経診察)を徹底的に深めておくことが重要と感じた。

以上かなり私見の入った脳神経内科専門医試験対策について記載させていただいた。

これが後輩たちの勉強に少しでも役に立ってくれることを願います

記事への反応 -
  • 2019年の神経内科専門医試験に通ったので、勉強についてのメモをここに残しておく レポートについて 専門医のレポートは3月中旬までに提出がいる。全部で10症例。 焦らずにやるのであ...

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