2021-08-28

何故トヨタ自動運転車は"動いてしまった"のか

↓この件

https://nordot.app/803904012476612608?c=39550187727945729

どうやら、システムは人が横断歩道前にいるからと停止したのに、オペレーターが横断しない"だろう"と判断して停止指令をオーバーライドして発進したということらしい。

どうしてこのようなことになったのか。

オペレーターのせいと言えるのか。

そもそも何故オペレーターがいるのか。

考えられる理由は「システム歩行者存在を取りこぼしてしまったときに車を停める」ことだ。

ただ、その場合オペレーターが発進指示をする必要はない。

なら何故、オペレーターは発進指示をできるようになっていたのか。

それは、システムではどうしても判断できない状況があるからだと思う。

システムのみの場合横断歩道前で人を待っていたり、立ち話をしている人がいたらその人がその場を離れるまで車は横断歩道前で止まり続けることになる。

他にも、昔天下一品ロゴが進行禁止道路標識と似ているため車が天下一品の前で一時停止するようになったという事例もあった。

https://www.j-cast.com/2021/02/03404261.html?p=all

このように、システムが誤認識したり、進めるかどうか判断できない状況はどうしても残る。

そのようなときにはシステムより人の判断を優先しなければ車は永久に進めなくなる。

なので、オペレーター役割は(乗客確認関係を除いて)以下の2つ

  1. システム歩行者存在を取りこぼしてしまったときに車を停める。
  2. システムが誤認識したり、進めるかどうか判断できない時に発進判断をする。


なので今回の事故は2.の判断ミスによる事故と言えると思う。

おそらくオペレーターオリンピック(健常者)で慣れていたオペレーションをパラでそのまま実行してしまったのだろう。

健常者のオリンピック選手は今まで仮に横断歩道を渡ろうとしていたとしても車の存在認知して止まってくれていたのだろう。

また、オリンピックの時はオペレーターが発進判断をした後に選手が突然横断歩道渡り出す危険な状況があったときも大体は最後の砦自動ブレーキで止まれていたのだと思う。(これは後述する制動距離説明する)


ただ、システムでどうにかできたのではないだろうか。

システム歩行者を瞬時に認知したとしても、認知したタイミング制動距離以内だったら車はぶつかる。

ただ、eパレットは超ノロノロ運転最高速度19km/h)なので、制動距離はかなり短いはずだ。

かなり重い車のはずなので初動10km/hとして簡易的に計算すると、

制動距離=v^2/2μg

=(10×1000/3600(m/s))^2/(2x0.8x9.8m/s^2)

=0.49m

停止判断をするまでの空走距離については、システム認知判断スピードは一瞬だと思うので、制動距離と合わせて1mもあれば自動ブレーキで止まることはできたと思う。

そのため、オリンピックの時は仮にオペレーターが発進判断をした後に歩行者が歩き出しても車は自動ブレーキシステム歩行者の前で止まれただろうし、また歩行者も車が自動ブレーキで止まれないような状況(自分と車の距離が1m未満)で道を渡ろうとしなかったのだと思う。

ただ、今回は目が不自由な方が被害にあった。目の不自由な人はその距離感がわからない。

おそらく、ノロノロ運転の車が止まれいくらい近距離で横断を開始してしまったのだろう。

トヨタ社長が会見で「もっと音が出るように改善する」と言っていて、それだけかよwって思ったが、考えれば考えるほどそれしかないように思える。

障がい者に車の存在を伝えて、自分と車の距離が1m未満の時に横断を開始しないようにしてもらうしかない。

システムを優先する改善を行うと自動運転車横断歩道を渡らない歩行者がいたら永遠にその場で止まることになるからだ。

結局、車は何故"動いてしまった"のか。

それは、

オペレーター歩行者がこの距離では渡り始めない"だろう"と思い込んでいた"だろう"運転と、

その"だろう"が実現されない車(目の不自由歩行者が車の存在認知できないような静かな車)だったからだと思う。

余談だが、このシチュエーション市道で発生した場合、どう対応すればいいのだろうか。

市道では40km/hと4倍ほどの速度で車は走っている。

速度の二乗制動距離は伸びるので8m必要ということになる。(チューリッヒサイトでは11mと書いている)

おそらく障がい者は仮に車から爆音が鳴ったとしても8m先の車を認知できないので、今回のような事態が起きたら確実に轢かれる。

となると自動運転車信号のない横断歩道付近に人がいたら、仮に立ち話をしていてどう考えても渡る気配がなかったとしても車の存在障がい者に伝えられる距離(1m)で自動ブレーキシステムを使って緊急停止できる速度(10km/h)まで車の速度を落とすことになる。

そうなると、おそらく現在運転者は「遅ぇ」と自動運転機能を切るだろう。

自動運転を普及させるには技術だけじゃなく、運転者の意識も変えないといけないだろうなぁ、と思うと自動運転技術課題解決とは関係なく遥か遠くの技術のように思えてしまう。

  • ひとつ賢くなりました

  • 最高速度がもっと速かったり、トルクの出るモーターを使ってたら被害者は重症か最悪死んでただろうな 最高速度を19km/hに設定したのは、仮に今回のような事故が起きても被害を最小に...

  • 押しボタン信号を全横断歩道につけて信号のない横断歩道を無くせば自動運転は実現しやすくなる?

    • 押しボタン信号ばっかになったら歩行者は信号を待つのがめんどくさくなるので横断歩道のない道を渡るようになる

  • 目の不自由な人はその距離感がわからない。 わかるよ e-Palette見たことあれば結構うるさいし目隠しした健常者でも1mもあればわかるよ 視覚障害があれば尚のこと敏感なのでわかるよ ...

    • 聴覚障がい者は視覚は元気という前提なのでは だからeパレットを視認できると まぁ視覚聴覚のダブルパンチは正直どうすれば良いか難しいよな

    • まぁ止まる「だろう」というより、一度止まったから単純に「譲ってくれた」と思い込んじゃったのかもな 市道でも横断歩道付近って渡ってもらうのが基本だけど譲られることはよくあ...

  • 自動運転車がパラリンピック選手を轢いた事故がオペレーターだったトヨタ社員の過失で決着がついたけど、その結果を見る限りこの増田が言ってる通りだったのかなと思ったので再ト...

  • 豊田って何人人を殺せば気が済むんだろう

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