まだテレビなんで取り上げられる前。ユーザーはほとんど物好きそうな人ばっかりだった。
自分も小規模ながら趣味をやってる人間。同じような趣味を持つ人の会話を何気なく聴いたり、
たまにそこに参加して過ごすのは、現実世界では味わえない楽しい時間だった。
しばらくするとユーザーも増え、自分と同世代で同じような趣味を持った人間を見かけることも増えた。
当然、趣味の話以外にも同世代ならではの共通の話題で盛り上がるようになった。
SNS内でのつながりもも増え、複数人で会話をすることも少なくなかった。
テレビや雑誌で取り上げられるようになると、身の回りの人間もそのSNSの存在を知るようになった。
オフラインの友人とも、SNSで繋がるようになった。互いの趣味が垣間見え、
普段は口にすることが無いような趣味の話を聴くことができるのも楽しかった。
気がつくとオフラインの友人とオンラインの友人がSNSで繋がっていた。
特に不都合は感じなかったし、むしろ自分が友人関係の橋渡しをできたような気分になっていた。
生活の都合で大都市を行き来することが増えた頃、オフ会をすることになった。
普段オンラインで話してる彼と実際に会って会話してもいいだろう。
趣味の話を、現物のグッズを持ちあって話せたら楽しいじゃないか。そう思った。
そうやっていくつかのオフ会に参加した。
複数人が集まることもあった。
そうやって恋人ができた。
出会いの場が違ってもプロセスは一緒。きっかけが違うだけだった。
なんの問題も無いと思っていた。
もちろんその中には私のオフラインの友人のアカウントも含まれていた。
対人関係は個人が好きに創り上げるものだし、そこに何か制限を設けるのはおかしいと思い、
そのことには疑問や特別な感情を抱くことはなかった。
私も反論を書いた。
SNSはやめた。
アカウントを消したりとあからさま過ぎる行動を取ると面倒を引き起こすので、
忙しくて覗くことも会話することができない旨を、たまに投稿する。
身を引くときも気を使い、しかも身を引ききることができていない。
単純に書けば以上だが、実際は文字通り目が出て花が咲いて枯れるくらいの期間の出来事だった。
振り返ってみれば、オフラインの愚痴をオンラインにぶつけていた自分が、
オンラインのおかげで今もこの関係続けていられるとも言える気がする。
SNSをやめるとき、一番気がかりだったのがオフラインの友人たちとの関係だった。
SNSを通して遠くに言ってしまった友人の恋愛事情や仕事の話を聴くのも楽しかった。
幸い、今はLINEのようなオフラインでのつながりを前提とするサービスのおかげで、
オンラインの友人とオフラインの友人を隔離して会話することができている。
公私混同というこばがあるが、会社と私事以上に属するコミュニティが多数存在する現代では
私私混同に気をつけなければならないと痛感した。