2012-04-22

夏目友人帳みた。周りの人達の妙な優しさはみんなどう消化してるん?

風邪で寝込んでいる間に夏目友人帳を見た。見始めたら止まらなくなってしまった。これは面白かったと言っていいのだろう。

ところで、どうしても気になる点が一つ。

夏目の周りの人たち、同級生藤原夫妻など、彼らの気の長すぎるほどの優しさに対する違和感はどう対処すればいいの?

夏目友人帳は、自分一人だけに妖怪が見えるということが原因で長い間他人とうまくやってくことができなかった主人公の夏目タカシが、

藤原夫妻という養父母やよき友人たちのもとで、周囲に自分を受け入れてもらう、その難しさや怖さを徐々に克服していくことに焦点を当てた成長物語としての側面を持っている。

もちろん魅力はそれだけではないのだろうけど、

彼の成長、あるいは彼がなかなか成長をしないことに対するじれったさが、

見るものを惹きつけ、続きを見たくなる一つのドライビングフォースとなっていることは間違いない。

ところが、こういう見方をした時にどうしても気になる点がある。

タカシの周囲の人間が、極端にやさしすぎる点だ。

物語中での彼の成長を描くために、過去との対比がよく用いられる。

過去で描かれる夏目は、妖怪のせいで周囲の人から奇妙な行動を目撃されたり、虚言癖があると指差され、距離を置かれる。

さらに、両親がいないために、親戚をたらい回しにされ、自分の居場所を持つことができない非常に孤独少年として描かれる。

一方で、現在の彼は、藤原夫妻という「優しい」夫妻に引き取られ、高校でも「優しい」同級生に恵まれ、

多少奇妙な言動を見られたり、変なことを言っても、幸いなことに距離を置かれることはない。

むしろ、北本西川、笹田といったクラスメートは、初期お世辞にも愛想が良いとはいえない夏目に対してすら好意を持ち、

時には上の空の夏目に懲りずにお節介を焼き続けるのである

おれは作品の欠点を意地悪くつつくような血気盛んなタイプではないし、

多少気になることがあっても見えないふりをして楽しめる方だと思う。

しかしどうしてもこの対比の違和感が気になってしまう。

少なくとも物語スタート地点での夏目個人は、過去夏目と同一だろう。

それが周囲の人たちに恵まれて、徐々に心を開いていく。周囲の人達に支えられながら、夏目が成長しているのである

ところが、過去に出てくる人たちも、必ずしも意地の悪い人というわけではない。

引き取ってくれる親戚も、一部を除けば夏目のことを悪く思っているわけではないし、

同級生も少なくとも転入してすぐには親しくしてくれようとする、とこれは夏目自身が回想している。

これを拒んでしま夏目自身、そして言動、虚言癖によって徐々に溝ができてしまうというのである

すると、過去現在との違いは果たしてなのだろう、ということになる。

物語初期には、他人の好意を条件反射的に拒んでしま夏目はいまだ健在で、おかしな言動だってある。

確かにこれは徐々に改善されていくのではあるが、その素地は彼自身にあるのではなく、

それまでただひたすら優しく彼の未熟さを受け入れてかまってくれる友人たちにあるのだ。

現在の彼らが夏目に対してひたすら優しい笑顔を向けていられるのだろうか。

あるいはもっと単純に言ってしまえば、アニメクールを通してひたすらやさしい友人たちに対する違和感、これが気になって仕方がなかった。

物語としてテーマを浮かび上がらせるためには、単純化というやり方は効果のある手法だと思う。というか物語ってそういうものだ。

ところが、この単純化された物語に対して現実感、あるいは説得力を持たせるためには、

その特殊な設定が許される理由付けが無くてはならない。

もちろん、説得、というのは相手がいるものであって、どれだけしっかりとした理由付けが必要となるかは受け手によるだろう。

理由がなくても流せる人もいるだろうし、逆にもっと極端に目に付く人もいるし、また受け手の体調なんかにも左右されるだろうから

別に絶対的にうまいやり方はないし、そもそも現状がうまくないと言えるわけではもない。

ただ自分にとってはどうしても気になって仕方がなかったということだけ。

おれの疑問としては、みんなこの「夏目の周囲の人の極端なやさしさ」をどう消化しているのだろう?

ということである。気にならないのか、どうなのか。

最後にこれはかなり個人的な背景が影響することかもしれないが、おれにとってつい次を見てしまう動機となったのはむしろ、

「いつになったら周りの人がイラッとした表情をみせるだろうか」

というジリジリとした緊張感があったような気がする。

自分にとって夏目のいる全く悪意のない環境というのはとても不自然で、

誰かが舌打ちをすることで現実感が生まれるはず、

もっといえば現実感をつかむために誰かが夏目に対して(これはつまり感情移入している自分に対して)舌打ちをしているのを待ってる、

どこまでいけば舌打ちされるのだろうかというジリジリとした緊張感こそが、次を見てしまう原動力となった。

クールみてからは、この物語には悪意はないのだということを了解したために、そういう緊張感はなくなったのだが。

どうなんですかね。

  • まあ、漫画(アニメ)だからということで、そんなにリアリティを求めずに見てました。 たしかに、夏目の周辺が異常に優しい人だらけなんだが、たまたまの環境で そして友人以外のク...

  • 過去と現在との違いは果たして何なのだろう 「中学」と「高校」の違いってかなり大きいと思うぞ。 実体験として、小中ではクラスを巻き込んだ堂々としたイジメが存在してたけど、...

  • http://anond.hatelabo.jp/20120422141118 つ 君に届け 周りの優しさがこの作品の比じゃない。

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