2024-11-15

なぜ、実質賃⾦が低下しているのか?:新型コロナ禍後の内外の経済環境を踏まえて

今⽇の論点

• 新型コロナ禍後の国外要因と国内要因によって経済全体で⾒た実質賃⾦が低下傾向にある。

  • 国外要因:交易条件の悪化

  • 国内要因:労働市場における超過供給状態の進⾏

  • したがって、すべての企業物価上昇を超える賃上げ実施することは不可能である

安易政策発想への警鐘

  • 「物価と賃⾦の好循環」、⼀時的な所得政策官製賃上げスローガンでは、実質労働所得の向上や所得格差是正は決して図れない。

• 本格的な経済構造政策必要

  • 所得格差是正には恒久的な所得再分配政策、⻑期的な実質賃⾦の向上には経済構造改⾰がそれぞれ不可⽋である

まとめ(事実認識

• 新型コロナ禍後の実質賃⾦のV字回復頓挫させたマクロ経済学的な要因は、

  • 第1に、交易条件が⼤きく悪化したために、労働所得の原資となる付加価値の伸びが物価上昇に追い付かなった点である

  • 第2に、新型コロナ禍後に労働市場が⼤きく変容し、マクロレベルで超過供給が⽣じた点である

労働市場の超過供給実態が⾒えづらかったのは、超過供給失業の形で顕在化することなく、⾮労働⼒化を経由することで⼀時的に潜在化してきたかである

まとめ(政策処⽅)

政府経営側の賃上げへの強⼒な⼲渉によっても、マクロ経済 全体で実質賃⾦を引き上げたり、賃⾦の規模別格差を解消したりすることはできない。

  • ⼤企業の⼤幅な賃上げと中堅・中⼩企業の⼩幅な賃上げは、表裏⼀体の関係がある。

所得格差是正するには、⾼資産家層に課税低所得者層を補助するような所得再分配政策必要である

• 実質賃⾦の⻑期的な改善には、労働⽣産性の向上をもたらすような経済構造改⾰が不可⽋である

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