2024-08-04

[] 金利上昇が経済に与える影響

1. インフレ抑制効果

金利上昇によるインフレ抑制効果は、フィリップス曲線を用いて説明できる。フィリップス曲線は、インフレ率 (π) と失業率 (u) の間の関係を示す。

π = πᵉ - α(u - u*)

ここで、πᵉ は期待インフレ率、α は係数、u* は自然失業率である金利上昇により、失業率が上昇し (u ↑)、インフレ率が低下する (π ↓)。

2. 貯蓄促進

金利 (r) の上昇が貯蓄額 (S) に与える影響は、以下のように表現できる。

S = S₀ × (1 + r)ⁿ

ここで、S₀ は元本、n は期間である金利が上昇することで、貯蓄額が増加する。

3. 企業設備投資への影響

金利上昇が企業資金調達コストに与える影響は、以下の式で表現できる。

C = L × r

ここで、C は資金調達コスト、L は借入額である金利が上昇すると、資金調達コストが増加し、企業投資 (I) が減少する。

I = I₀ - βr

ここで、I₀ は初期投資額、β は感応度である

4. 株価への影響

株価 (P) は、将来のキャッシュフロー (CF) を割引率 (r) で割った値として表現される。

P = Σ (CFₜ / (1 + r)ᵗ), t=1 から T まで

金利が上昇すると、割引率が上昇し、株価が下落する。

5. 為替への影響

金利差 (Δr) が為替レート (E) に与える影響は、購買力平価説金利平価説を用いて説明できる。

E = E₀ × (1 + (Δr / (1 + r_f)))

ここで、E₀ は初期為替レート、r_f は外国金利である金利上昇により、自国通貨が高くなる。

6. 住宅ローン金利の上昇

住宅ローンの月々の返済額 (M) は以下の式で表現される。

M = L × (r × (1 + r)ⁿ) / ((1 + r)ⁿ - 1)

ここで、L は借入額、r は金利、n は返済期間(月数)である金利が上昇すると、月々の返済額が増加する。

7. 実質経済への影響

インフレ抑制されると、実質経済に以下のような影響が期待できる。

7.1. 実質購買力の向上

実質購買力 (RP) は名目購買力 (NP) と物価水準 (P) の関数として表現できる。

RP = NP / P

インフレ抑制され、物価水準 (P) が安定すると、実質購買力 (RP) が向上する。

7.2. 実質賃金の安定

実質賃金 (RW) は名目賃金 (NW) と物価水準 (P) の関数として表現できる。

RW = NW / P

インフレ抑制され、物価水準 (P) が安定すると、名目賃金 (NW) の上昇が実質賃金 (RW) の上昇につながりやすくなる。

まとめ

金利上昇の影響は多岐にわたり、単純に経済成長が鈍化するとは限らない。金融セクターや貯蓄行動、為替レートなどにプラスの影響を与える一方で、企業投資にはマイナスの影響を与える可能性がある。これらの影響を総合的に評価するためには、各セクター経済主体に対する個別の影響を数理モデルを用いて分析することが重要である

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