私は、弟のことが心底嫌いだ。
泡みたいに、音もたてずに、誰にも迷惑をかけずに、
跡形もなくパチンと消えてなってくれたらいいのにと思っている。
弟には、自責という概念がない。自分がうまくいかないのはすべて他人のせいする。
それに、いまだに十年前の世界を生きている。
弟には、主体性が全くない。何かを自分で決めることができないのだ。
自分で決めたら、人のせいにできないからだと思う。ずっとそうだった。
自分の選択に自信がもてないってことは、そういう育てられ方をしたんじゃ?、
もしかして両親が毒親だったのでは?と思われてしまうかもしれないが、そんなことはない。
両親は、弟に対して強要したことは一度もない。私に対してもそうだ。
「どうしたいのか?」という希望を常に聞いてくれたし、その選択を尊重してくれていた。
岐路に立った時には、いつも弟のやりたいことを助けてくれていた。
そのせいで、両親の貯金は底をつきた。
それなのに、弟はいまだに、両親が、俺の話をきいてくれなかった、と言い続けている。
そのせいで、俺はうまくいっていないのだと言っている。
両親は、俺のことを愛していないのだといっては、消費者金融に行くだの、自殺するだのといって、
両親のことを脅し、何千万も搾り取ってきた。
それでも、まだ足りないそうだ。
どれだけ抱きしめて、目を見て話して、謝罪して、お金を払っても足りないそうだ。
毎月請求される何百万という借金のせいで、父親は、夢だったバイクを持つことをあきらめた。
私は、もう両親を"弟の親"であることから解放してあげたいと思う。
両親には、もう親としてではなく、両親自身の人生を歩んでほしいと思っている。
きっと両親は、弟が生きているかぎりずっとこのまま搾り取られていくのだと思うと、
本当にやるせない。
弟よ、あなたの両親は、お前に搾り取られるために生まれたわけじゃない。
両親への罪悪感があるのなら、もう両親に連絡しないでほしい。
あなたの方から、両親との縁をきることが、今あなたのできる一番の親孝行だと思う。