亡くなった義母の思い出話を夫としていた時。「いつからか母さんが家事をしなくなったのがショックだった」と夫が言った。
義母は足が不自由で年齢の割に腰もかなり曲がっており、家の中でもシルバーカーが無いと歩けない人だった。
歩くのも大変なんだから、貴方が手伝えば良かったじゃないかと言ったら「俺は出来ることをやった」と言う。
何を手伝っていたのか訊くと、義母が運びやすいように重い陶器の食器から軽いプラスチックの食器に変えたり、
腰が曲がっている義母でも洗濯をしやすいように縦型洗濯機からドラム式に買い替えたと言う。
「それ本気で手伝えたと思ってるの?」と思わず言ってしまった。
夫は普段家事を殆どしない人だ。せいぜい自分が着た服を洗濯するくらい。
一度でも配膳を手伝ったことがあるか、料理や皿洗いをしたことがあるか、
義母の服を代わりに洗濯したことがあるか、掃除機をかけたことがあるかと訊くと、やはり無いと言う。
「義母は実際の作業を手伝ってほしかったと思うよ」と言った私に夫は反論しようとしたが、
「プラスチックの皿やドラム式洗濯機は義母が欲しいって言ったの?義母が何をしてほしいと思ってたか、ちゃんと話を聞いたことあるの?」と言ったら黙り込んでしまった。
皿が軽くなっても洗濯機に洗濯物を入れやすくなっても、それをやるのが変わらず義母ひとりなら、
義母の負担は何ひとつ減っていないということに夫は気づいていなかった。
義母は元々自分の主張をハッキリとする人だったらしいが、それを気に入らず暴力を振るう義父と、
義父に逆らうと説教を始める小姑のせいで、主張することを諦めてしまったらしい。義母本人が以前話してくれた。
夫も当然、義母が自己主張をしない人だと分かっていたはずなのに、きちんと義母に寄り添えてなかったのだ。
最初は息子のためにとシルバーカーを押しながら家事をしていたであろう義母。
恐らく、全てに疲れてしまったのではないだろうか。
息子は何もしてくれない。他に助けてくれる人もいない。孤独を感じることもあったはずだ。
ある日ふと、全部やめてしまおうと思ったのではないだろうか。義母の本心は今となっては知ることが出来ないが…。
私が嫁いでから義母は何度も一緒にキッチンに立とうとしてくれた。
洗濯も掃除も「嫁ちゃんひとりじゃ大変だろう」と言って手を貸そうとしてくれた。
無理して立ち仕事をして転んだりしたら大変なので、義母がリビングで座ったまま出来る作業だけ手伝ってもらっていた。
「手伝ってくれてありがとう」と言えば「嫁ちゃんが少しでも楽出来たら嬉しいから」と言ってくれた。
夫は少しずつではあるが、家事を手伝うようになった。
私が言ったことに何か思うところがあったようだ。本当にありがたいと感じている。
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増田にこんなピュアな人間はいないと言ってる訳ね。 哀しい人ね。
釣りって言われてショックだったけど、あなたのコメントで少し気が楽になりました。ありがとう