2023-11-21

忘れられない本。

私には忘れられない本がある。

佐藤ラギ著 「人形ギニョル)」 という本。

この本に出会ったのは、中学生の頃だった。

親友と共に図書館へ行き、気になる本を数冊抱えながら館内をうろついていた私のもとに、親友が「これ、好きだと思う」と一冊の本を抱えた本の上に置いた。

その本が「人形ギニョル)」だった。

当時私はホラーサスペンスミステリーといった本が好きでよく読んでいたし、球体関節人形を数体所持していたこともあり、表紙のビスクドール写真に心を奪われた。

帰宅し真っ先に読み、序盤はなんとも思わず読んでいたものの、読み進めていくうちに止まらなくなり、最後最後で体中の力が抜けるような、でも気持ちは高揚している。そんな感じだったのを今でも覚えている。

それ以来ずっと「人形ギニョル)」が忘れられなくて、でも当時まだ中学生だった私はお小遣いなどももらっておらず、自由自分で使えるお金を持っていなかったから、すでにもう手に入らないこの本を何度も図書館で借り、何度も読んだ。

高校生になりアルバイトを始め、ある程度自分お金を手に出来た時、まだ普及していなかったネット通販で、本当に届くのかな…?詐欺じゃないよね…?なんて考えながらびくびくしながら購入したのを覚えている。もちろんちゃんと届いた。

あれから十数年経った今も忘れられず、時々思い出したかのようにネットで「人形ギニョル)」のことや、著者の佐藤ラギについて検索する。

読んだ当初は閲覧できた2ちゃんねるスレッドも今はもう見ることはできないし、mixiコミュニティ更新も止まっていた。

その後は集英社文芸誌小説すばる」に『スワンの涙』を連載したという情報があるのみで、執筆活動は途絶えてしまったということや、ネコ・ヤマモト名義でも執筆をしていたこととか、もうほぼ知っているし、なんにも新情報なんてないのに、ふと思い出したとき検索し、「また何も成果はなかった」と安堵する。

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