ニュージーランドの最低賃金と貧困の増加に相関があるかどうかは、簡単に答えられる問題ではありません。最低賃金の引き上げは、貧困層の所得を増やすことで生活水準を向上させる効果がある一方で、雇用の減少や物価の上昇などの副作用も起こり得ます。また、貧困の測定方法や定義も国によって異なります。
ニュージーランド政府は、2017年から2021年にかけて、最低賃金を段階的に引き上げる計画を実施しました。2021年4月1日には、最低時給が20ニュージーランド・ドル(約1,400円)になりました。政府は、この措置が約17万4,000人の労働者の所得を増やし、貧困層の割合を0.5ポイント減らすと見込んでいます。
しかし、一部の研究者や経済団体は、最低賃金の引き上げが貧困の解決策になるとは考えていません。例えば、ニュージーランド経済研究所(NZIER)は、最低賃金の引き上げが雇用機会を減らし、物価を押し上げることで、貧困層に逆効果になる可能性があると指摘しています3。また、ニュージーランド財政責任局(NZFRA)は、最低賃金の引き上げが貧困層に直接的な恩恵をもたらすとは限らないと分析しています。NZFRAによると、最低賃金の受給者のうち約4割は貧困層ではなく、逆に貧困層のうち約6割は最低賃金の受給者ではありません。
したがって、ニュージーランドの最低賃金と貧困の増加に相関があるかどうかは、様々な要因や視点を考慮する必要があります。最低賃金だけではなく、教育や社会保障などの他の政策も貧困対策に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
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