絵を描くのが好きだった。
話を作るのも好きだった。
感動した、好きだと僅かながら言って貰えることもあった。プロになりなよと友人たち人に言われた。
私は馬鹿だから真に受けとって、あわよくばプロになれたらな、なんて考えていた。23歳の独身女が現実から目を逸らした夢物語だった。
20卒で入った企業は適応障害になって1年で辞めて、新しい職場に入れたが1年経った今適応障害の症状が出始めて辞めたくて仕方がない。
田舎の中小企業で年間休日94日という求人詐欺の会社だ。唯一良いところは早く帰れるところ。
私は早く帰宅して絵を描き続けた。創作漫画も完成させた。ネットに投稿もしたし、応募もした。
バズったらどうしようなんて心配もしていたが、杞憂に終わった。かすりもしない。世間に私の漫画なんて求められてなかった。
褒めてくれるのは周りの友人と僅かながら届いたコメントだけ。
おかしいな、色んな人にプロになりなよと言われるぐらいのはずなのに。そう思いながらも私は徐々に現実が見えてきた。
メールアドレスに出版社からの不採用の通知が届いた。それを見てショックもうけたが、そりゃそうだとどこか納得してしまった。バズりもしない漫画なんて誰も求めないよな。私はいらないのだと実感した。
現実に戻ってきて鏡を見ると褒め言葉をそのまま受け取って勘違いした滑稽な女が映っていた。
1年間、絵を描くだけにあてたのだ。貴重な時間をドブに捨てたようなものだった。資格勉強もせず、なにも技術がない女がそこにはいた。
でも一人で生きていくにはあまりにも情けなくて初期装備すぎる24歳。
やりたいことを追い求めれるほどリスクに走る勇気もなけりゃ、割り切ることもできない。
やりたくない事だらけで人生詰みだ。
やりたくないのに生きていくために努力していくのがつらい。つらいけど努力しないと抜け出せない。
けどそこまでして生きたいとも思えない。かといって死ぬ勇気もない。クソみたいに中途半端だ。
寿命なんてもういらない。
そして永遠に生きる絵描きの女が産まれたのでした…