いい加減時効だと思うので吐き出してみる。
相手は年上の女性で、初恋だなんて書いているが知り合った時点で子供もいる人妻だった。
同じ漫画の話題でよく話してて、話がよく合う人だった。普段の日記も穏やかで優しい人柄が伝わってくるような人だった。
同人活動をしている人で、自分と知り合う前に何冊か同人誌を出していた。その人の描く漫画は特別上手いわけではなかったけれど、その漫画の解釈が自分とあっていて好きだった。影響されて自分も同人誌を描き始めた。
元々は自己満足程度の絵しか描いていなかったので、本にするまでには結構な時間がかかった。それでもその人からアドバイスを貰いながら少しずつ描き進めて、ようやく一冊完成させられた。イベントで本を出すことにした。当時の自分に下心があったのかはわからないけど、顔も知らない人だったので、イベントでその人と会えればいいなと思っていた。
結局その人には会えなかった。その人は第二子(第三子だったかもしれないが)を妊娠していて、イベントに参加できるタイミングではなかったのだ。
そのあと何冊か同人誌を出したしイベントにも参加したが、やはり生まれたばかりの子供がいると参加は難しかったのだろう。そこでも会えることはなかった。原作も完結してしまっていたので自分自身もそのうちにジャンルから離れてしまって、その後はその人とジャンルが被ることもなかった。相手が同性であればイベントと関係なく会いましょうと誘えたのだが、成人した男が夫のいる女性を誘うのはさすがにはばかられた。誘ったところで断られていたと思う。だからその人とはもう会える機会はなかった。
それからしばらく経って、ペアーズを始めた。何人かの女性とメッセージのやりとりで切られたときは特になんとも思わなかったのだが、直接会って何度かデートして、いいなと思った人から別れを切り出されたとき、その人の妊娠したという報告を見たときと同じような感覚を抱いた。胸の奥がギューッと絞られるような、それまで経験したことのない感情だった。
人妻相手で、顔も知らなくて、会ったこともなくて。失恋というのもおこがましい経験だけど、もしかしたらあれが初恋だったのかもしれないとそのとき思った。一目だけでも会いたかったと今でも思う。
成人した男が夫のいる女性を誘うのはさすがにはばかられた。 ......という判断は正しかったと思う。きわめてまともだよ。しかし..... 誘ったところで断られていたと思う。 ....