それは「加害者」「被害者」「企業イメージと業績影響」の三点で説明出来る。
職場で立場上の優位性にある者がパワハラをやるという定義があるので、当たり前である。無能な人はパワハラやれる局面すら与えられない。
またパワハラの加害者は自分の力で優良顧客を得ることも多々あり、ヘタに加害者を処分すると顧客が流出して業績に響きかねないのだ。
これがセクハラ被害者との大きな違いの1つ目。当たり前であるが、パワハラは無能な人のダメな成果や態度に対して加害者が怒りを感じて行われることが殆どである。
一方、セクハラはそうとは限らない。むしろ良い成果を出して目だつ女性社員がターゲットになりやすい。
ここまでの2つがともに成り立たないケースではパワハラもきちっと取り締まれることがある。先日東京ヴェルディの監督がパワハラを告発され辞任に至ったが、これは「無能と評されてた監督」が「チームの主力に対してパワハラ」をした、まさにこの2つが真逆になった事例だ。こういうパワハラケースでは加害者がきちっと罰を食らう。
セクハラは女性層への大きなイメージダウンや女性からの不買運動につながり兼ねないので、企業の経営者はセクハラ案件発生に対して強く警戒する必要がある。だからセクハラには厳しくなる。
一方、パワハラ案件で企業がイメージダウンしたり不買運動が起きた事例はいまだにゼロである。
これが企業がパワハラ案件に緩い本質的な理由である。本当にパワハラを無くしたいのなら、ガイドラインではなく明確な企業犯罪として取り扱うなど、「有能な加害者が無能な被害者に対して行うパワハラ」を放置するデメリットがメリットを上回る仕組みが必要だが、その需要が現状ないので、需要を作り出す所から始めないといけないだろう。