2021-06-19

唐揚げ太郎

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは大分に殴り込みに、おばあさんは北海道ザンギ修行に行きました。

おばあさんが川で鶏を捌いていると、大きな大きな唐揚げがどっぷりこどっぷりこと流れてきました。唐揚げに目がないおばあさんは鶏を放り投げると一抱えもある唐揚げを拾い家に帰りました。

おばあさんは大分から伝説唐揚げをかっさらってきたおじいさんと大きな唐揚げを分けようと半分にすると、中から元気な男の子が出てきました。おじいさんとおばあさんは唐揚げ太郎名前をつけて唐揚げを与えて大切に育てました。

その頃、白いひげを蓄えた南蛮人が異国の唐揚げを広めていると噂がありました。白ひげの南蛮人唐揚げ店を始めると周囲の唐揚げ店はもちろん地方飲食店バタバタと店を畳むことになると恐れられていました。大盛り食堂の息子は「うっせーなKFCでダチが待ってるんだよ」と異国の黒い汁を飲みながら母親を蹴り飛ばすという鬼の所業をするようになったとのことで、かの店は零細飲食店からは「鬼ヶ島」と呼ばれるようになりました。

唐揚げ太郎の家も唐揚げを作っていたので、この鬼ヶ島には大変困りました。成長して唐揚げの申し子と呼ばれるほど美味い唐揚げを作っていた唐揚げ太郎鬼ヶ島の白ひげを退治しに行くことにしました。

「これを持っていきなさい」

おばあさんは道中腹が減ったときのためにコンビニ唐揚げを買ってきました。

ありがとう、行ってきます

唐揚げ太郎は勇ましく出かけていきました。

唐揚げ太郎KFCに向かっていくと、犬が現れました。

唐揚げ太郎さん、唐揚げ太郎さん、そのからあげクンひとつ私にくださいな」

「あげましょう、これから究極の唐揚げを作りに行くのについて行くならあげましょう」

唐揚げ太郎おやつからあげクンチーズ味を与えて犬を仲間にしました。

唐揚げ太郎と犬が歩いていくと猿が現れました。

唐揚げ太郎さん、唐揚げ太郎さん、そのファミチキくださいな」

同じように猿が仲間になりました。

唐揚げ太郎さん、唐揚げ太郎さん……なんでもありません」

しかけてきたけど逃げようとした雉を唐揚げ太郎はスナイプして、落ちた雉を犬が拾ってきました。

「雉も鳴かずば撃たれまい」

唐揚げ太郎唐揚げ棒を食べながら雉を背負うとKFCに向かいました。

「いらっしゃいませー」

たどり着いたKFCでは犬と猿を連れて雉を背負った男が現れたので大騒ぎです。

責任者を呼べ、唐揚げバトルをするぞ」

唐揚げ太郎厨房へ飛び込むと、持ってきた飛び切りの鶏肉を出しました。

「なんの騒ぎですか」

から噂の白ひげが現れました。

「俺が勝ったらこの街から店を全部撤退しろ

「良いでしょう、GSで鍛えた私のチキンを甘くみないでほしい」

厨房では白ひげが秘伝のスパイス唐揚げ漬け込みます

「俺はそんな小賢しいことはしねえ」

唐揚げ太郎醤油と酒、生姜ニンニクというシンプルなタレを作りました

「そんな貧相なタレで味が出るのかね」

唐揚げはタレで決まるわけじゃねえ」

唐揚げ太郎は犬と猿に鶏肉を揉み込むよう指示を出しました。野生のパワーで犬と猿はあっという間にふかふかの鶏肉に仕上がりました。

「な、なんと……!」

「骨があったら食べにくいだろう、唐揚げの命は柔らかさなんでい!」

唐揚げ太郎の揚げた唐揚げはまるでマシュマロのような柔らかさでした。柔らかさがシンプルな味を引き立て、なんとも言えない懐かしさがある夢のような唐揚げでした。

「ぐっ……負けた……」

白ひげは膝を着きました。

「でもお前さんの唐揚げGJだぜ」

唐揚げ太郎は白ひげと手を握りました。

「同じ唐揚げを志す者同士、切磋琢磨しようぜ」

唐揚げ太郎は白ひげの店と提携することになりました。唐揚げ太郎唐揚げを認めた白ひげは唐揚げ太郎唐揚げを異国でも売り出すことを勧めました。

こうして唐揚げ太郎唐揚げは「雉印の唐揚げ」として世界に広がり、団子のように串に刺した姿と雉の色をモチーフとした緑とオレンジロゴで愛されたということです。めでたしめでたし

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん