狼の神性は各国の民俗学で取りざたされるが、狼の神性のみならず変身奇譚的な要素が取り入れられている。これは主観的な視聴者の目線では狼は最初から狼として変身していたのであり、さして最新話でも変化がない。しかし話の中に一度入ってみれば、生贄の女の子や槍を持った部族の女の目線ではもう一つの神のように見えたのではないか(とはいえ、生贄の彼女は狼に人間と同列の感情で接している)。神性の変身性質は化身という表現で語られる。様々な宗教において化身は多くの姿を持つのが通例で、その一形態をより身近なリアリズムを持たせて描いてるのだろう。
不滅~は一話目から民俗学の造詣(というより下調べ)が濃い内容であり、そんな意味で民間伝承をふんだんに取り入れたという三話も二話もそれほど違和感はない。仮説でしかないが、神話の形成過程を描こうとしているのか、という気がしなくもない。そして、神話とはある意味では人類の歴史や過程であり、一つの不思議な生命体を通して進化全体を代弁し始めているのではないか。つまり神話の根源には実はもっと科学的でDNAじみたものが中心にあるのではないか、あるいはそれは刺激によって信仰とは無関係に善悪関係なく取捨選択する存在ではないのか。言ってみれば神話の再解釈だ。現状そんな印象を受ける。