「写真と鏡、どちらが本当の姿を映していると思いますか」と、ある若い男は私に聞いた。
「鏡は即時に私に反応して連続的に映るから、だから、鏡……」私は、特に考える間も無くそう答えた。
「そう思うでしょう?でも、真の姿を映しているのは写真なのですよ。鏡を見るとき、あなたは見たい自分を見ているのです。でも写真はそうではない。だから、写真に映るあなたが、より本当のあなたなのです。」
改めて、鏡を見つめてみた。くたびれた表情の私が映っている。目にかかった前髪、ボサボサの髪の毛、昼間だというのに寝巻きを着ていて、顔はなんとなく蒼白い。いかにも働いていなそうな人間がそこに立っていた。私は、彼の言葉を確かめるべく、鏡に自分が真の姿を映していないかもしれない、と前提して改めて自分を観察してみた。鏡に映る私の顔の左の眼を追いかけると、頬や眉、口、髪型、身体が滲んで見えた。口元をみてみると、今度は眼が滲んで見えた。確かに、鏡が本当の私の姿を映しているのかだんだんとわからなくなってくる。ふと、顔がぼーっとしていたことに気がつき、思わず顔の筋肉を引き締めた。
確かにそうかもしれない、と思った。しかし、本当の私というのはなんだろうか。彼は、私からみた私は本当の私ではないと言っている。他者が映した私が本当の私であると言っている。他者が映した私だけが本当の私なのだろうか。写真というのは時間と空間に対する束縛。その束縛が真の姿を映していると、本当に言えるのだろうか。
私は、ある人に私の秘密を渡してしまった。その人は私の秘密をずっと欲しがっていた。私はその人が大好きだったし、とても信頼していたから、その人にはその秘密を少しだけ分けてあげていた。
「この秘密は、外に漏らさないで欲しい、この秘密には鍵をかけて、外気に触れないところに置いておいて、大事に扱って欲しい」
その人は約束すると言った。その人と私は契ったはずだった。鍵はかかっているのか、どこにあるのか、失くしてないか、誰にも盗まれないか。私は会うたびに、その人にしつこいほど確認していた。でもその人は誠実にちゃんと約束は守ってくれていることを私に示してくれていた、と私は思い込んでいた。実際には、私の秘密は、私の知らない誰かにいつの間にか渡されて、その人が好きなあるものを手に入れるときのお金にされていたのだった。
私の指は何かの病気のようだ。6年ほど前から、右手の中指に水泡ができはじめた。中指の付け根から第一関節にかけて、薬指の方の側面にその水泡があった。最初は不安になって、ネ...
anond:20200822033803 ホテルのエントランスに戻り、濡れた傘を折りたたんだ。 一泊二千円台の安宿に部屋を借りている。安宿ではあるが、値段の割にサービスも質も悪くないのだ。しかし...
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anond:20200824100821 虫になると、暗くて、湿っぽい場所が落ち着いてくるようになる。 もう何日も変えていない薄ら脂の匂いのするベッドのシーツの上で、何もしないで、ただ横たえてい...
anond:20200829175900 私は閉め切られたビジネスホテルの廊下にある非常扉を、こっそりと開けてみた。扉を開け放つと、目が痛いくらいの光とともにホテルの中の冷涼で清潔な空気とは違...
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なにこの臭い文章
なんだと思う?
ふふ、それはね。。