祖父・岸信介に憧憬を抱き、祖父が目指した道筋をたどることで「認められたい」
晋太郎の戦争体験を「思想形成に影を投げかけていた」とネガテイプに捉え、岸の青春時代(大正期)を「日本が大変飛躍的な前進を遂げた〈栄光の時代〉」と憧憬を隠さない。安倍の歴史認識の原点がここに読み取れる。しかし、よく考えれば祖父の青春時代も父の戦争体験も、安倍はもちろん直接知らないし、恩師や学友が言うように歴史の書物を繰って勉強した形跡もあまりない。それでも「祖父は正しい、父は間違っている」と断を下したのは、おそらくは「パパより、おじいちゃんが好き」というようなパーソナルな体験によるのだろう。
安倍の新人議員時代の読書も、純粋な意味での知識の吸収というよりは、幼心に刻まれた「おじいちゃんは正しい」という思いを確認する作業だったように思える。「おじいちゃんのやったことは間違っていなかった」とする「岸史観」が、首相に就いた安倍をして憲法から安保、教科書に至るまで、戦前回帰とも思える戦後体制の否定にひた走らせているのではないか。
スターウォーズの789がそんな話だったね。