2020-03-17

祖母が寝たきりになる

らしい。

実家を出て、あるいは捨てて、遠い場所看護師をしている私はそのことを今知った。なんでも庭で転倒してICUに運ばれていたのだと。長年のパーキンソン病でもともと身体の動きはぎこちなかったし、退院後に寝たきりになるということはまったく不思議ではない。遅かれ早かれこうなっていただろうという感じ。むしろパーキンソン病発症時期を考えれば、寝たきりになるまでずいぶんと持った方だと思う。

から、諦めという感情で割り切れていた。母親から入院している病院看護師を私の名前で呼んでいる」と聞くまでは。

パーキンソン病はつまるところレビー小体型の認知症だ。発症が認められたそのとき身体症状と精神症状のどちらが強く出ていたかで、診断名が異なるのだろう。たぶん。知らんけど。

ここ一年祖母精神症状というか、認知症症状というか、ちょっと見ていられなかった。(元々の性格もあるのだろうけれど)不安や焦燥は強かったし、幻覚がそれに拍車をかけていた。忘却はもちろんあった。転倒する前から親族のこと、たとえば一緒に暮らしている私の母親のことさえも、覚えていたり忘れていたり。

でも、孫の中でいちばん不出来だった私のことだけは覚えていたんだよなあ…

なーんで私のことを覚えているかな、と思う。いっそ忘れてくれればよかった。私はICUで働く看護師のように真面目に働いてはいない。病棟でもやっぱり不出来であるし、それでいて、勉強熱心でもないのだ。志も低い。だから、忘れてくれればよかったのに。どうして覚えているんだろう。悔しい。苦しい。私がいちばん心配をかけたからだよね、わかってるよ、ずっと不登校でごめんね。家を出てごめん。帰省しなくてごめん。もっとあなたに親身になってくれる人たちのことを覚えていてほしかったよ。私のことなんて真っ先に忘れてほしかった。忘れられても、私はきっと、たいして傷つきもしなかった。それくらいに薄情なのにどうして覚えているのかな。どうしようもない。苦しい。

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