「カツカレーってさ、カレーを食べる時には」彼女はつまらなそうにスプーンを摘まんでそう言った。「カレーを食べる時にはスプーンを使うじゃない?」
僕は彼女が何を言いたいのか分かっている気がしたけど、もしかしたら違うことかもしれないと思い直して、黙って頷いた。
彼女も黙ってルーとライスを一口分すくい、口に運び入れてもぐもぐと咀嚼する。
それは多くも少なくもない一口分だが、彼女が何を言うのか固唾を飲んで見守る僕にとっては長い一口分の沈黙だった。
カツカレーというのは、本来はライスにカレールーをかけて食べる家庭的な料理だ。また、カツカレーのカツというのは平均的に言ってトンカツのことであり、普通は黒くてドロリとしたトンカツソースをかけて食べるフライ料理のことである。カツカレーの場合はソースをかけず、ライスにトンカツを乗せてトンカツソースではなくカレールーをかける。
トンカツソースもカレールーもスパイスが効いているものの、少なくとも僕の味覚では全く違う味だし、サクッとしたトンカツの衣もルーの水分でふやけてしまうが、なんとなくそのままでも充分魅力的なカレーライスに、別の魅力を持ったトンカツを乗せてしまうという背徳感こそが、カツカレーにとっての本当のスパイスかもしれない。
だけれども…。
「だけど」いつの間にか咀嚼を終えた彼女の口が唐突に開いた。「だけどね…」
「だけど?」僕は少々食い気味に尋ねた。
僕はカレールーにまみれたトンカツをよそ目に、彼女のぷりっと輝くローズピンクの唇だけを見つめてしまう。
「うん、そうだな。これは一つの参考意見として聞いてほしいんだけど…」「そうね」「スプーンでは食べづらいかもしれないね」
「それにね、私、思うの」彼女は僕よりも遥か遠く、スカンジナビア半島のフィヨルドまでを遠く眺めるような眼差しを向けた気がした。
「カツカレーってなぜか冷めないのよ」「前の彼氏に勧められて食べたときには唇を火傷したわ」「唇だけじゃない」「口の中もよ」「前歯の後ろの皮が」「べろべろ剥けたわ」
「もちろん夜は?」
うまく言葉が出てこなかった。どうにか出た言葉を、僕は吐き出したが、それを聞いていったい僕の人生にどんな影響があるというのだろう。
「早く部屋へ行きましょう」
「天ぷら」と「蕎麦」じゃん? 例えばカツカレーは100+100=300くらいのシナジー効果は見込めるけど 天ぷら蕎麦は100+100=200という真面目さ 食べてる時に蕎麦と天ぷらが一緒に口に入ること...
「カツカレーってさ、カレーを食べる時には」彼女はつまらなそうにスプーンを摘まんでそう言った。「カレーを食べる時にはスプーンを使うじゃない?」 僕は彼女が何を言いたいのか...
そばもんでもその問題やってたけど結局あまりうまく解決してなかった気がする
そばつゆの染みた天ぷらの衣の旨さと天ぷらから染み出した旨味の増したつゆで食うそばの旨さ。いわば100+100を150+150にしていることに何故気づかない!
まさかとは思うけど元増田、ざる蕎麦しか食った事ないんじゃね?
>食べてる時に蕎麦と天ぷらが一緒に口に入ることまずないよね カツカレーでカツとご飯を同時に口に入れることもあんまりやらないよね。 カツカレーでは、カツにカレールーを掛け...
江戸時代から、この組み合わせだったんでしょ?歴史的な視点から考えてみると良い。 江戸時代は、たしかつなぎを使えなかったので、蕎麦はちぎれやすく蒸籠で蒸していた。茹でるの...
そばつゆ、うどんつゆは油を含むことでぐっとコクが出る。 むしろカツカレーの方に相乗効果がない。カレーの肉、トンカツの千切りキャベツ抜かれてるし、カツ+カレーよりもマイナ...
やっぱり油っ気だよね。 鴨南、コロッケは言うに及ばずたぬきが成立するあたり。
発想が面白い 一緒に食べてたわ
自分は増田と逆で、 カツカレー 100+100=200 天ぷら蕎麦 100+100=300 ぐらいの感じだわ。(天ぷらのクオリティとかでも変わってくるけど。)
本当は食べた事ないんだろ?食った事あるなら衣がいい感じの天かすになってシナジーが生まれるの知らない筈がない。
わかった 確かめたいから奢って
天ぷら、蕎麦 どっちも見ただけで美味しそうだけどな。 それを組み合わせるなんて贅沢。
ようするにケミストリーがあるかどうかなんだろうけど たしかに海老天とかじゃケミストリーは生まれにくい が、かき揚げ天そばにはそれがある だいたい100+100=250くらいにはなってる...
飯テロだ
10年後でも同じ感想かな? 20年後も同じ感想かな?
そばつゆに天ぷらの油が入ることで旨味が増すんやで その一番簡易なのがたぬき
https://anond.hatelabo.jp/20190830130214 これ見ておすすめの天ぷらそば屋を教えようと思う人はいないだろ 第一どこに住んでるかも分からんのに
どっちも美味しいのです。必ずだいこんおろしをつけちゃう🐈