2019-07-26

知らない人の家に着いて行きそうになる時。

集団詐欺にあった大学生記事を読んだ。

綺麗に騙される人もいるものだ。という感想を抱く一方で、いや待て、誘いに乗りたいタイミングというのは存在する。という出来事を思い出した。

数年前、目を酷使する前職を退職し「地球を感じたい!砂漠だ!砂漠へ行かねば!」という欲望に突き動かされたわたしモロッコにいた。

複数スパイスの組み合わせによる複雑だけど優しい調和を感じる味わい。素材の旨みをじっくりと引き出す調理法。異国の喧騒も、緊張して通したオーダーを待つ時間も目の前の料理を更に魅力的なものへと変えた。なにがなんだかわからないけどとにかく美味しいモロッコ料理に魅了されるのに時間はかからなかった。

街中を散策する中で、スパイス専門店が数多く存在することに気づいた。一からスパイスを調合するのは難しくても、ミックススパイス的なものがあったりするんじゃないだろうか?それを使えばあの魅力的な料理日本でも再現できるのでは?と考えたわたしは、そのうちの一軒に足を止め商品を物色した。店主に「ミックススパイスの有無」を尋ねると、「ラスエルハヌートというスペシャルなのがあるよ!」と言われた。ちょっとだけください。と頼んで渡されたものを見て驚いた。

ホール(丸ごと)すぎるのだ。ぶつ切りの枝、葉っぱ、種、松ぼっくり丸ごと?みたいなやつ。それらが絶妙な配合でブレンドされたビニール袋を渡され、軟弱な日本人は途方に暮れた。これでは料理には使えない。店を出ると一人の男が声をかけてきた。「うちに最強のブレンダーがあるぜ。このスパイス達を完全なパウダー状に粉砕することができる。」

救世主かと思った。「枝・葉っぱ・種・松ぼっくり食材に変えてもらうために、おじさんの機械を借りにおじさんの家に行く。」自然な流れである。もう少しだけ危機管理能力に欠けていたら着いて行っていたと思う。

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